外国為替再入門 3 外国為替レート

実需取引


外国為替取引は、実需と仮需(投機)に分けることができます。貿易、資本取引など経済的な裏付けがある取引を実需といいます。経済的裏付けの無い取引を仮需、投機、スペキュレーションなどといいます。


実需は、企業などが行う輸出入取引、海外工場の新設などに伴う直接投資、企業買収、資本参加などによる間接投資、資本投資などが実需の中心ですが、投機取引する企業もたくさんあります。


投機取引の中心的主体は銀行です。銀行の自己ディーリング部門は、為替差益を狙って積極的に取引を行います。銀行の責務として、常に市場を正常に機能させるために価格形成と流動性を確保しなければなりません。そのためには常時、市場で取引を行っておく必要があります。


投機というとヘッジファンド、仕手集団などが市場を動かして利益を出すようなイメージがありますが、実は大切な役割があります。

投機とヘッジは表裏一体で、安定的な企業経営を行うのに為替ヘッジが必要であるならば、その受け手が必ず必要になるのです。自動車を所有して運転するときは必ず保険に入ります。それを受けるのは保険会社です。ヘッジとは保険という意味でもありますから、それを受けてくれる相手がいないとリスクをヘッジする機能が働かなくなるのです。


市場は、常に一定以上の取引が無くてはなりません。ですからリスクをヘッジしたい企業もリスクを取って利益をあげたい企業も同時に存在する必要があるのです。もし実需しか存在しなければ、為替レートは一方向に動きがちになります。輸出が常に輸入を上回る日本では、際限なく円高に向かってしまうことになります。


1984年に先物外国為替取引に関する「実需原則」が撤廃されてからは、銀行以外の企業も自由に為替取引ができるようになり、為替市場が拡大しました。この改正以前は、実需の裏付けがない為替取引は禁止されていました。


現在では、実需の占める割合は10%を割り込んでいます。現在では、取引の主体は完全に投機が中心となっています。


外国為替市場は、あらゆる市場の中で最大の市場です。世界のどこでも取引でき、24時間いつでも売買できるのです。主要通貨の取引は規制もほとんど無く、自由公正に取引できる市場になっています。


実需と仮需(投機)のマーケットへの影響


実需と投機では、マーケットに与える影響は異なります。
実需は貿易や資本取引が中心ですから、買い切り、売り切りになります。後から反対売買が行われることはありません。ですから実需の増大減少はトレンドを形成する要因となります。それに対し、投機は短期売買が中心となります。

買ったものは必ず売られ、売られたものは買い戻されます。銀行ディーラーなどは、一日の中で何度も売買を繰り返すことはよくあることです。ヘッジファンドなど銀行以外の投機筋も数日から長くても3ヶ月以内に反対取引が行われます。ヘッジファンドの決算は3ヶ月ごとに行われますから、最長でも3ヶ月ということです。このような投機筋の売買による影響は短期的です。このような短期売買により、買われすぎ、売られすぎが常に発生していますから、ボラティリティは投機によって生まれます。


トレンドは実需によって生まれ、ボラティリティは投機によって生まれるのです。

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