2008年3月21日 FX検定 きょうの問題 デンマークの失業対策

2005年、デンマークは雇用対策として労働対策と失業給付とを合わせてGDPの4.6%を支出した。1993年の失業率は10%以上あったが現在では3%未満になり、1年以上の長期失業者は0.8%にまで落ち着いている。デンマークの柔軟性と保障・安定性を兼ね備えた雇用政策を何と呼ぶか。


正解 フレキシキュリティ(Flexicurity)


解説

柔軟性Flexibility 保障・安定性Securityからの造語

デンマークの労働政策が注目を集めている。労働政策上、柔軟な雇用と安定した雇用は二律背反になると考えられてきたが、デンマークはこの両立を目指している。OECDのなかでデンマークは解雇が容易な国に分類される。しかし、就業支援など積極的労働市場支援は手厚く、失業給付の水準も高い。


有体に言うと、企業は容易に解雇ができるが、労働者は失業しても高水準の失業手当が受けられ、再就職のための就業支援が完備しているということである。デンマークでは、労働者の11%が毎年失業し、20%が自発的に離職している。つまり毎年労働者の30%が離職しているのである。それでも失業率は3%、長期失業率は0.8%に留まっているのである。


スウェーデンでは労働組合の組織率が高く、労働交渉力も強いのに対し、デンマークでは解雇が容易である。デンマークでは失業補償額が失業前の80%であるため求職活動に熱心でないとの批判もある。この批判に応えて失業給付を短縮した。それでも給付期間は4年である。スウェーデンでは、低所得者層を対象に失業給付水準を当初は80%、40週以降は70%、60週以降は65%と低減させるように変更した。


デンマーク、スウェーデンなど北欧諸国では、解雇された労働者に対する失業保険は、失業前の賃金の60%程度を受け取れる。イギリスは26%、アメリカは33%、日本は45%~80%であるが上限は日額7,000円である。北欧各国は税引き前で、スウェーデン70%、ノルウェー72%、フィンランド73%、デンマーク78%である。いずれの国の政策も高水準の手当てがあり、日本とは雲泥の差である。国民負担率40%の日本、国民負担率70%の北欧各国との差は国民の幸せ度にも出ている。高福祉国家スウェーデンの社会保障支出はGDP比で32%にも及ぶ。


また、就業者の割合は福祉・地域サービス・個人サービスの部門で40%弱にも及ぶ。日本では22%程度である。スウェーデンの社会保障支出GDP比32%は、日本に当てはめると163兆円になる。現状の113兆円との乖離が不足している幸福分である。スウェーデン最大の産業部門は福祉産業なのである。福祉産業は内需と国民の幸福感を維持する内需産業なのである。輸入品の支払いができるるだけの外貨獲得ができるならば、それ以上の外貨獲得よりも国民の幸福感を高める内需に向けるべきであるが、「道路建設」か「福祉」か、どちらが国民の幸せ、国益に准ずるのかは明らかである。


OECDによれば、積極的労働市場政策支出の対GDP比が最も高いのはデンマークの4.5%、オランダ、ドイツ、フィンランドが3%台でフランス、スウェーデンが2%台後半である。これに対し、イギリス、日本、アメリカは0.7%程度と低水準である。新自由主義を採る国の政策が数値的対比を成しているが、日本はこれでいいのだろうか?