2008年3月8日 7日の海外為替市場
ブッシュ米大統領、ポールソン米財務長官、「経済が減速したのは明らか」
米雇用統計では失業率は改善したが、非農業部門雇用者数が-6.3万人(予想2.5万人)と予想を大幅に下回り、一日を通じて、EURUSD=1.5459最高値更新、USDCHF=1.0138最安値更新 USDJPY=101.44円8年ぶりの円高水準となった。しかし、FRBの積極的な資金供給に、FRB大幅利下げ期待が高まり、ドルショートポジションの巻き戻しで終了した。金融市場の悪化が進み、日経平均株価=-432.62 独DAX=-77.14 英FTSE=-79.50 NYダウ=-146.70と世界的な株安が続いた。
アジア市場では、円買いが続き、欧州時間にはついに101円台に突入、株安と主要通貨高が進み、欧州市場では、クレジット市場の悪化と、米雇用統計を控え小幅な値動きとなった。米国市場では、カナダ雇用統計が予想を上回り、USDCAD=0.9811→0.9742まで下落したが、米国では0.9923まで上昇。米雇用統計は失業率=4.8%(予想5.0%)、非農業部門雇用者数=-6.3万人(予想2.5万人)に、ドル売りが加速。
米雇用統計前にFRBがターム物入札ファシリティの規模を拡大=1回300億ドルから500億ドルへの増額を発表。FRB28日物での通常オペの開始を決定。FRB追加利下げの思惑が広まり、週末のドル売りポジションの巻き戻しを誘発、ドルの買い戻しが続いたが、ソーンバーグ・モーゲージ破綻の可能性に、米国株は弱くドル買いも弱まる。
●ドル円
アジア市場のドル円は102.66円で取引が始まり、早朝には102.50円以下のオプション絡み+投機筋のストップロスを試し102.45円まで下落、海外勢の円売りに102.92円まで上昇したが、103円超えのドル売りは厚く、日経平均株価の大幅下落=円買いに、102.45円を割り込むとドル売りが加速、102.32円まで値を下げた。欧州市場は102.43円で取引が始まり、中長期筋の円買い戻しが円クロスを含めて強く、102.00円のオプションバリアをトリガーし、101.80円まで続落、米雇用統計の一大イベントを前に101.85~10円の狭いレンジで取引が続いたが、ECBフィキシングには102.35円まで値を戻した。米雇用統計の弱い非農業部門雇用者数に102.14→101.40円まで急落、FRBが大量資金供給を実施、FOMCで大幅利下げ期待が脹らみ米国株が持ち直すと、102.50円超えの短期投機筋のストップロスを巻き込み、アジア市場の高値102.92円超え買いが加速、103.25円まで急騰となった。103円台では実需筋+資本筋+ファンド勢など幅広いドル売りが控え上げ止まり、ラジア米大統領経済諮問委員会委員長から「今四半期は成長低迷を見込んでいる」との発言や、ソーンバーグ・モーゲージ破綻の可能性に住宅ローン関連は混乱し、NYダウが一時200ドル近い下落となり、102.42円まで下落、薄商いの中で102.93円まで上昇、結局は102.67円で取引を終了した。
●ユーロドル
アジア市場のユーロドルは1.5379で取引が始まり、1.54台は重く海外勢の売りに一時1.5371まで下落、1.5370 ~85のレンジで揉み合いとなったが、ファンド勢+アジア勢の買い底値も堅く、1.54のオプションバリアを試し1.5433まで上昇、利食いの売りに1.5370まで値を下げた。欧州市場は1.5385で取引が始まり、1.5370を安値に、独鉱工業生産は強く、塚当局者の相次ぐインフレ懸念発言に1.5425まで上昇したが、不安定は欧州クレジット市場と、弱い欧州株価に上値も重く、1.5400~25の狭いレンジで売り買いが交錯した。米雇用統計の発表に、1.5410→1.5465まで上昇したが、FRBが大量資金供給を実施、これを契機に大手ファンド筋の売りが強まり、ポジション調整の売りが進み、1.5350を割り込むと短期投機筋のドル売りも入り、1.5315まで続落となった。1.5300~20では中銀筋や米銀筋の買いに厚く下げ止まり、一時1.5370まで値を戻し、1.5325~60のレンジから、1.5358で取引を終了した。
●ユーロ円
アジア市場のユーロ円は157.90円で取引が始まり、ドル円の売りに一時157.70円まで値を下げ、AUDJPYの買い+実需の買+ドル円が上昇に転じると158.25円まで上昇、157.95~20円の狭いレンジで揉み合いが続いたが、日経平均株価の大幅安に1157.55円まで下落した。欧州市場は157.59円で取引が始まり、弱い欧州金融株とクレジットリスクの高まりに円買いが強く、156.82円まで続落、ドル円がようやく下げ止まり、157.00~30円のレンジで取引が続いたが、ECBフィキシングでは157.81円まで上昇した。米雇用統計の発表に、157.53→156.70円まで急落、米国株が値を戻し、オプションカットでは157.73円まで上昇、ロンドンフィキシングでは158.41円まで急上した。クレジット市場の混乱が続き、米国株が弱く157.10円まで下落、米国株連動の相場が続き終盤にかけては158.02円まで値を戻し、157.68円で取引を終了した。
●主な経済指標の結果
日銀金融政策決定会合=0.5%の政策金利据え置きを決定。全員一致での決定。
15:00 日本 3月の金融経済月報・基本的見解
20:00 独 1月鉱工業生産=前月比1.8%(予想0.4% 前回1.5←0.8%)
21:00 カナダ 2月の失業率=5.8%(予想5.9% 前回5.8%)、雇用ネット変化=4.33万(予想0.8万件、前回4.64万件 )→ カナダドル買いが強まる
22:30 米 2月の雇用統計: 失業率=4.8%(予想5.0% 前回4.9%)、非農業部門雇用者数=-6.3万人(予想2.5万人 前回-2.2←-1.7万人)、時間当たり賃金=0.3%・17.8ドル(予想0.3% 前回0.3%・17.75ドル←0.2%・17.75ドル)、週間労働時間=33.7時間(予想33.7時間 前回33.7時間)
05:00 米 1月の消費者信用残高=69億ドル(予想70億ドル 前回37←45億ドル)
●昨日の主な発言その他
米国・カナダ
◎S&P=米国の実質経済成長率が2008年に1.2%に減速し、税収入の減少リスクに直面する連邦および地方政府の借り入れが増大する。
◎ポールソン米財務長官=米資本市場は現在圧迫された状況。ダウンサイドリスクは認識している。明らかに予行の数字は歓迎できない。
◎ブッシュ米大統領=経済が減速したのは明らかだが、これを予期し、景気対策法案を可決することで景気押し上げへの断固たる措置をとったことは心強い。
◎米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージ=6億1000万ドルの追加担保差し入れ要求に応じられず、破たん危機が迫っている→ 住宅ローン市場が混乱。
◎ラジア米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長=ブッシュ政権は国内経済を懸念しており、今四半期は成長低迷を見込んでいる。リセッションは他の人が決めることだ。われわれは今四半期の予想を下方修正した。現実として経済は期待ほど強くない。経済は第3四半期までに持ち直し、インフレ圧力は来年低下するとの見通し。
◎ミシュキンFRB理事=為替相場の変動は避けられないものであり、メディアの反応は時として行き過ぎる。
◎米連邦準備理事会(FRB)=資金ひっ迫の軽減を目的に、1000億ドル規模の週間ターム物レポを実施。 3月10日・24日に行うターム物入札供給額をそれぞれ500億ドル引上げる。TFA入札を少なくとも今後6ヶ月継続。→ スイス中銀は追加流動性を否定、ECBも何も言うことは無いと発言。
◎米連邦準備理事会(FRB)スタッフ=最近数日間で市場状況が悪化したとの認識がターム物流動性供給額の拡大につながった。入札拡大してもFFレートを目標近辺に維持することを目指す。最近数日間で市場状況が悪化したとの認識、今回の措置につながった。今回の措置は雇用統計と無関係。追加入札供給額、流動性へのアクセス保証を高める見込み。
◎ムーディーズ=米住宅金融ソーンバーグの格付けをジャンク等級内でさらに引き下げ。
◎投資会社カーライルの関連会社=さらに追加担保差し入れ要求とデフォルト通知受ける。
◎プール・セントルイス連銀総裁=現在の先行き不透明により、政策の見通しを先々まで示すのは困。金融政策、成長リスクとインフレリスクの間でバランスをとる必要がある。リセッションに対する保険はただではない。家計部門は圧迫されているが、非金融機関の財務状況はかなり良好。多くの金融機関が低迷することは明らか。金融政策、成長リスクとインフレリスクの間でバランスをとる必要がある。金融政策は成長リスクとインフレリスクの間でバランスをとる必要がある。
◎イエレンSF連銀総裁=米経済は住宅バブル崩壊による下振れリスクに直面。インフレと成長に対するリスクの不快な組み合わせに直面。インフレリスクはおおむね均衡している。コアインフレ率は今後2─3年以内に2%以下に低下する見込み。インフレ期待の抑制を当然視すべきではない。
◎フィッシャー・ダラス連銀総裁=金融市場のグローバル化により、FRBのインフレ抑制能力が失われることはない。ただ、投資家が下落した通貨を売ることから中央銀行にとってリスクが高まる。中央銀行が懸念しているのはインフレ期待。
欧州・英国
◎ソルベス・スペイン経済・財務相=原油や食品価格が上昇すれば、ECBが利下げする可能性は低くなる。
◎トルシェECB総裁=現在の商品価格急上昇、グローバル化がインフレの上方リスクにつながることを示す。食品価格上昇のショックをよく理解することが重要。現在の商品価格急上昇、グローバル化がインフレの上方リスクにつながることを示す。市場の調整がインフレ動向へ影響するかもしれない。市場の動向を考慮。過度の為替変動は望ましくない。
◎IMFリプスキー筆頭副専務理事=ECBの金融政策について、経済成長が比較的良好でインフレが高いという現在の環境に合っている。状況が変わればECBは方向を変えるべき。ユーロは強い方向にある。
◎ウェーバー独連銀総裁=現在のインフレ見通しと中期の物価上振れリスクが主要懸念。インフレ率は08年を通じて2%を上回る見込み。成長率の低下は08年前半に持ち越され、その後徐々に回復へ。一部の成長下振れリスクが顕在化、08年の成長は潜在成長率をやや下回る見通し。予見可能な将来、景気減速見通しがインフレ圧力低下をもたらすと考えるだけの十分な根拠はない。
◎ウェーバー独連銀総裁=金融市場はインフレリスクを過小評価している。ECBはインフレについて必要なことを実行するのは間違いない。インフレリスクは長期化する見込み。銀行にとって厳しい環境がしばらく続く。
◎ノワイエ・仏中銀総裁=すべての国にとって、成長のリスクは下向き。すべての国にとって、インフレのリスクは上向き。不安定な金融環境の中、金融政策の決定は一段と困難で不透明になっている。商品価格高について長期的トレンド。新興市場国の成長が天然資源や食品・エネルギーに対する需要の大幅増につながっており、必然的にインフレに対して強力かつ永続的な影響を及ぼす。
◎リープシャー・オーストリア中銀総裁= 界経済の減速は避けられないが、ユーロ圏の経済ファンダメンタルズは強い。ユーロ高は商品およびエネルギー価格高による影響の緩和に寄与。現在3.2%の高水準インフレは年末に向け2%に近づく。ECBの金融政策はインフレ抑制を目指している。
◎ウェリンク・オランダ中銀総裁=金融もしくは経済の安定を脅かす恐れのある動きに柔軟に対応。
日本・その他
◎財務省=2月末の外貨準備高は1兆0079億ドル、前月比+119.37億ドル。
◎大田経済財政担当相=米経済の減速や原油高などの影響がジワジワ現れている。テンポ緩やかになっているが、景気回復の基調は続いている。中銀は経済に不可欠な機能、決して総裁の空白期間作らない。米経済の減速や原油高などの影響、ジワジワ表れている。
◎トルコリラが対ドルで大幅に下落、新興国市場は世界的な信用状況の悪化見通しにより打撃を受けている。
◎8日にカタールとUAEがドルペック解除とのうわさが流れる。
◎福井日銀総裁=前向きなメカニズムは少し弱まっているが、崩れてはいない。米国を中心とする世界経済のダウンサイドリスクやや高まっている。景気は足元減速しているのは事実、海外資本市場の動きに不確実性が高い。国際金融資本市場、やや不安定増している。国際金融市場が秩序立って調整されれば、時間がかかっても日本経済は次の局面につながる。何が何でも利上げしなければならぬ訳ではない。為替・株式市場の変動、投資家のリスク取る姿勢が消極的になっている。賃金への所得還元が一層遅くなっている。各国間で政策行動異なっても、目指すところは同じ。
◎金融経済月報・基本的見解 =景気は減速しているが基調としては緩やかに拡大。減速理由にエネルギー・原材料価格高を追加。生産はこのところ横ばい圏内の動き。生産は当面横ばい圏内で推移するが、その後増加していく。企業収益が伸び悩みつつも高水準で推移。先行きは当面減速するもののその後緩やかな拡大を続ける。消費者物価はプラス基調を続けていくと予想。海外経済や国際金融資本市場の不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに引き続き注意。住宅投資は回復に向けた動きが見られるがなお低水準。