2008年4月27日 今週の為替戦略

月末と月初めに当り、実需の動きが活発になり、米雇用統計を週末に控え、今週も波乱の週になることが予想される。また、世界的なインフレ懸念+景気鈍化は避けられないものとなり、よりその傾向が強くなっている。


米国の信用収縮対策やサブプライム住宅ローン救済策に続き、英国BOEも流動性対策を発表、懸念された米金融機関の決算もそこそこの結果となり、問題の米メリルリンチ、ワコビア、シティ・グループ、JPモルガン・チェース、スイスUBS、英RBS等の金融機関も、何とか資金調達のメドがつき、米金融不安が薄れたのか利下げ観測も薄れ、ドルも最安値から反発し、ポンドも値を戻している。


しかし、この金融混乱が収まった背景には、運用成績が極端に落ちも込みマイナス・パフォーマンスを抜け出すために、ヘッジファンドが水面下で、起死回生バーゲン・ハンティング(タダ同然)でクレジットの買いを仕込んでいる、とのウワサが強く流れている。もし、これが事実なら、いつ相場の流れが元に戻り、ドル売りに変わるかも知れず、心配でしょうがない。また、最近のドルの戻しが本格的な流れになることへの自信は全くない。


ユーロドルは1.60の大台を突破してからは、加速インフレを横目に、仏・独の政策担当者ばかりではなく、トルシェECB総裁、ユンケル・ユーログループ議長、ノワイエ仏中銀総裁、等々多くの通貨当局者もユーロ高をけん制する発言が続出し、一時500ポイント近くの調整が入った。


ドル円の為替相場と関連性の高い米金利であるが、2年債の米利回り急上昇、10年国債の利回りを比較してみると、ベアー・スターンズ救済策を発表した直後の3月17日には3.325%を底値に(日本=1.270%、独=3.690%、英=4.303%)から、4月25日では3.884%(日本=1.610%、独=4.180%、英=4.782%)まで上昇した。一方、3月1日の安値はUSDJPY=95.77円、USDCHF=0.9642と、共に一連の相場では最安値を更新した日に一致している。


最近では支持者が増えている金利下げ止まり期待が、今週のFOMCで確認できるのか、それとも、英系銀行のエコノミストが危惧している、1%までの低下が続くのか、米ドルの運命が結論付けられる。


Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、


主要通貨では:
ドル買いの週となった。金融不安や信用収縮の解消がテーマとなり、CHFは弱くUSDCHFは1.6%上昇と激し売りとなったが、信用リスクヘッジ通貨の相棒でもるJPYは健闘し、USDJPYは0.73%の下落に止まっている。ドル高の中で最も影響が少なかったのはAUDで、第1四半期CPIが強くAUDUSDは0.11%の下落と前週とほぼ同じ水準に止まった。GBPはBOEの流動性対策が発表され、EURGBPでGBP買いが強くGBPUSDは0.61%と小幅な下落で落ち着き、CADは第2四半期の経済成長の予想を大幅下方修正したことで、USDCADは0.94%下落、NZDUSDも1.06%下落している。


USDJPY    OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 101.41 104.66 100.30 103.67 2.64 2.61% 4.36 4.32%
25-Apr-08 103.86 104.82 102.67 104.43 0.76 0.73% 2.15 2.07%


EURUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 1.5693 1.5985 1.5658 1.5815 -0.01 -0.01% 3.27 2.07%
25-Apr-08 1.5804 1.6020 1.5555 1.5629 -1.86 -1.18% 4.65 2.94%


USDCHF   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 1.0057 1.0285 0.9925 1.0182 1.81 1.81% 3.60 3.60%
25-Apr-08 1.0181 1.0431 0.9997 1.0345 1.63 1.60% 4.34 4.26%


GBPUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レン
18-Apr-08 1.9652 1.9998 1.9597 1.9977 2.86 1.45% 4.01 2.04%
25-Apr-08 1.9963 2.0025 1.9679 1.9856 -1.21 -0.61% 3.46 1.73%


AUDUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 0.9265 0.9400 0.9205 0.9342 0.66 0.71% 1.95 2.10%
25-Apr-08 0.9322 0.9540 0.9290 0.9332 -0.10 -0.11% 2.50 2.68%


USDCAD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 1.0268 1.0272 0.9987 1.0041 -1.93 -1.89% 2.85 2.78%
25-Apr-08 1.0053 1.0213 0.9998 1.0135 0.94 0.94% 2.15 2.14%


NZDUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 0.7900 0.7959 0.7825 0.7901 -0.29 -0.37% 1.34 1.69%
25-Apr-08 0.7893 0.8033 0.7780 0.7817 -0.84 -1.06% 2.53 3.20%


円クロスでは:
JPYは久々に小幅な値動きとなり通貨により動きも二極化されている。円高=EURJPY、CHJPY、NZDJPY、CADJPY、 円安=GBPJPY、AUDJPYとなり、小幅ながらもAUDJPYは0.6%の上昇している。EURUUSDやEURGBPの急落に、EURJPYは0.45%下落しているが、下げ幅ではCHFJPYが0.83%の下落幅が大きくやや違和感を残る。


EURJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 159.20 164.68 158.25 163.91 4.17 2.61% 6.43 4.03%
25-Apr-08 164.17 164.98 162.67 163.18 -0.73 -0.45% 2.31 1.41%


GBPJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 199.29 208.99 198.05 207.10 8.24 4.14% 10.94 5.50%
25-Apr-08 207.35 208.10 203.33 207.32 0.22 0.11% 4.77 2.30%


CHFJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 100.81 102.24 100.32 101.79 0.91 0.90% 1.92 1.90%
25-Apr-08 101.98 102.74 100.37 100.95 -0.84 -0.83% 2.37 2.33%


AUDJPY   OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 93.97 97.49 92.21 96.85 3.15 3.36% 5.28 5.64%
25-Apr-08 96.82 98.41 96.78 97.43 0.58 0.60% 1.63 1.68%


NZDJPY   OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 80.12 82.38 79.09 81.88 1.78 2.22% 3.29 4.11%
25-Apr-08 81.97 82.87 81.17 81.61 -0.27 -0.33% 1.70 2.08%


CADJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
18-Apr-08 98.72 103.88 97.91 103.20 4.54 4.60% 5.97 6.05%
25-Apr-08 103.28 103.55 100.88 102.98 -0.22 -0.21% 2.67 2.59%


IMM通貨先物:
商品先物取引委員会(CFTC)が 4月25日に公表した建玉報告では、大口投資家の先物とオプションの合計は361枚のネットロングが減少し、2週続けてドル安センチメントが弱まっている。小口投資家は合計で764枚のネットロングが減少、EURUSDが1.6020を達成した後のドル買い戻しが裏付けられている。通貨間によってポジション調整の動きも異なり、JPYとCHFは久々に大幅なロングの減少となり、GBP、CAD、AUD、NZDではロングが増加、特にGBPはショートからロングに変化し、GBP買いに流れは変わっていた。


JPY Long Short Net
15-Apr-08 68,950 20,978 47,972
22-Apr-08 60,353 25,266 35,087


EUR Long Short Net
15-Apr-08 77,532 57,439 20,093
22-Apr-08 81,612 62,705 18,907


GBP Long Short Net
15-Apr-08 28,219 44,355 -16,136
22-Apr-08 35,044 30,381 4,663


CHF Long Short Net
15-Apr-08 27,058 21,824 5,234
22-Apr-08 24,731 21,722 3,009


CAD Long Short Net
15-Apr-08 33,518 28,015 5,503
22-Apr-08 43,836 26,466 17,370


AUD Long Short Net
15-Apr-08 57,536 12,891 44,645
22-Apr-08 70,348 11,850 58,498


NZD Long Short Net
15-Apr-08 12,015 5,421 6,594
22-Apr-08 12,726 4,832 7,894


今後の金利予想は:
国   予定日  現行政策金利  予想:         
USD  4月30日 2.25% 0.25%の引下げを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR  5月8日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 5月8日 5.00% 金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 5月20日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 5月6日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 6月6日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF  6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)


今週の経済指標・その他では、
経済指標からは、メインイベントは、①米第1四半期GDP(30日)、②米FOMC(30日日)、③米雇用統計(2日)と多い。GDPは、速報値が前期比0.3%と前回0.6%から大幅な減速が予想され、コアPCE価格指数は2.2%と前回の2.5%から低下を予想、共に市場では既に織り込み済みで、発表後の反応は複雑。FOMCは、先週末のミシガン大消費者信頼感指数が弱く、0.25%の利下げの可能性が若干強くはなっているが、利下げ見送りの観測も強く残り、仮に今回0.25%の利下げを実施したとしても、これが最後で異常な利下げ環境は終了するとの見通しも流れている。雇用統計は、非農業部門雇用者数の予想は-7.5万人と引き続き弱く、事前に発表される、全米雇用報告、米企業人員削減数も注目されている。


インフレ関連では、28日=独CPI、30日=ユーロCPI、
住宅関連では、29日=英ネーションワイド住宅価格、英BOE住宅許可件数、米S&Pケース・シラー米住宅価格指数、1日=豪住宅建設許可件数、
成長関連では、30日=カナダGDP、米GDP、
金融政策では、30日=日日銀金融政策決定会合、30日=米FOMC、
その他、1日=米個人所得・消費支出、米ISM製造業景気指数、BOE金融安定報告、2日=豪第1四半期小売売上高、これらは為替変動リスクが高いので注意したい。


●ドル円
ドル円は、105円の大台を直前に上昇力も衰え、国内からは引き続き実需筋のドル売りが続いている。オプション関連では105円を超えてくれば買いが増加することが予想されるが、市場のセンチメントは欧米金融不安の解消期待と、不安再発の思惑が混在し特定することもリスクが高い。特に今週は米国発の重要な経済指標が多く、急上昇も考え難い。


ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続きラインの中間を超え、中間から上限のレンジに入っている。上値のポイントは、104.81円、106.58円、107.74円、108.60円。下値のポイントは、103.68円、102.50円、100.65円、96.86円。RSIは40と下降ラインが崩れ横ばいか、上昇に変わった可能性も出ている。トレンドモメンタムは売りを継続しているが、過去2週間で-0.01→1.56→6.38と上昇しており、買いに変化する可能性もでている。トータルの判断は、未確定の先行した買いに弱気な構え。チャンスがあれば押し目買いで、103.68円割れで一時撤退。または、102.41円を割り込んだら撤退。逆に、102.30~40円を割り込んだら、売りも考えたい。Daily=買い、Weekly=102.41円~107.74円のレンジ、Monthly=売り。


●ユーロドル
ユーロドルは、1.6020と念願の1.60を超えてから激しく値を下げている。週の終値ベースでは3月21日の週の1.5431に次ぐ水準となり、過去4週間の安値を下回っている。結果的にはユーロ高けん制が効を奏してきたのであろうが、これがドルへの信任回復とも考え難く、EURUSDやEURGBPの急落によるポジションの巻き戻しが中心でEUR売り自信を持てない。戻り売りと押し目買いが交錯することが予想される。投機筋は短期取引でユーロのロングポジションは極端に減少させたが、同時に1.55の大台も過去4週間割り込むこともできず、政府系ファンドや大手投機筋の買い意欲を誘っている。今週予定されている3つのイベントリスクを前に、1.55~1.59で結果待ちと思われる。


ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続いているが、過去長い間にわたり1.5365~1.60のレンジに入っている。上値のポイントは、1.5695、1.5916、1.6020、1.6359。下値のポイントは、1.5365、1.5302、1.5002~13、1.4960。RSIは63と長い緩やかな上昇ラインが崩れ、トレンドモメンタムは買いを継続している。トータルの判断は、1.5365 ~1.5916のレンジを予想。1.5300を割り込むと、1.4960までの下落に結びつく可能性が出てくる。Daily=売り、Weekly=1.5365~1.5916、Monthly=買い


●ポンド円
ポンド円は、GBPUSDが比較的堅調に推移し、GBPJPYはAUDJPYを除き、円の買い戻しの流れに反し、やや上昇している。市場参加が期待し予想された市場流動性対策が発表され、BOEの金融政策委員からはこれによりインフレリスクが高まる事が指摘、利下げ観測も薄れている。しかし、成長鈍化は避けられず、今後の経済指標や発言に為替相場が左右され、円に対しては、大幅に上昇するとも思えず、むしろ上値トライ失敗の反動が、今から心配される。


ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間で取引されている。上値のポイントは、207.58円、210.87円、213.48円、213.70円、214.01~04円。下値のポイントは、204.60円 201.39円 200.62円、191.96円。RSIは34と横ばいとなり、トレンドモメンタムは長く売りを継続している。トータルの判断は、210.87円を超えるまでは売りを継続。Daily=買い、Weekly=200.62~210.87円、Monthly=売り。