2008年4月6日 今週の為替戦略
4月の第一週は決算要因も削げ、リーマンブラザーズが40億ドルの資金調達を実施、UBSの決算では第1四半期に190億ドルの評価損を計上したが、150億スイスの増資を検討するなど、米金融不安がやや薄らぎ、世界各国の株価も上昇に転じたことで、リスクヘッジ通貨としての円は弱く主要通貨で大きく値を下げた。
2日のバーナンキFRB議長の議会証言では、①リセッション入りした可能性はある、②今年の成長は上半期で若干縮小、③下半期で活動が強くなると発言、報道機関は①を強調、市場参加者の内、ドルベア派は②を強調、ドルブル派は③を強調し評価が分かれた。
3日のバーナンキFRB議長やガイトナーNY連銀総裁などの関係者の議会証言では、FRBの関与無くしては、ベアー・スターズ社の破綻が避けられなかったことが示唆され、破綻した場合のリスクはあまりに大きく予測不可能、つい最近3月14日のことである。
バーナンキFRB議長が議会証言で新たな何らかの措置を実施する計画はないとの発言に、利下げ観測が後退していたが、米雇用統計の悪化に、米国リセッション入りが確認され、4月30日のFOMCでは実質ゼロ金利とも言われている中で、0.25%の利下げ観測が台頭し、ドル売り材料とされている。
金融市場では3月14日から続いている緊急措置で米金融機関は最悪期を脱しているが、世界的に資金の供給先を探すのが困難な状況が続き、経常黒字国の通貨高、赤字国通貨安の流れを否定することも難しく、ポジション調整が進めば進むほど、これらの通貨高が復活する可能性が強まっている。
今週は、11日のワシントンG7を控えてポリティカルな面でリスクが強くなっている。ポールソン米財務長官は、強いドルは国益であるとの意見は変わらないと強調、ブラウン英首相は、世界経済は減速し、G7で金融市場の混乱対応に向け、緊急に行動することで合意との発言、ユーロ通貨当局者はG7でユーロ高への懸念を表明する見通し、過度の為替レートの動きを懸念していると表明する可能性が高いと言っている。
また、先日開催されたユーロ圏財務相後に、欧州財財務相とECBは、為替相場については、経済のファンダメンタルズを反映すべきで、G7では急上昇しているユーロ相場について懸念を表明することで合意とある。G7では予想外のサプライズが有るか、今後の発言に注意し、週末リスクを考えながらポジションを持つ必要がある。
今週の為替の方向性予想は:
USD=売り、EUR=レンジ→弱い売り、JPY=弱い売り→買いに変化、GBP=買い→売り、CHF=買い、CAD=レンジ、AUD=レンジ、NZD=売り。
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
主要通貨では:
期末も終わり、金融市場は落ち着きを取り戻し、株価も上昇に転じた影響に、クレジットリスクのヘッジ通貨のJPYはロングポジションの解消に、週末の弱い米雇用統計に買い戻しが入ったが前週比では弱く2.19円(2.21%)ドル高となり、一方のCHFはJPYに比べ小幅な下げに止まっている。また、NZDは世界的な金融市場の混乱に資金流入が減少し、国内の金融不安を抱えて弱く、CADは米国の景気後退の影響を受けるものの、金融市場は安定し利上げの可能性が再浮上しUSDに対して上昇し、EUR、GBP、AUDは米雇用統計に買いが入り小幅ながら上昇している。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 99.40 101.04 98.56 99.26 -0.30 -0.30% 2.48
04-Apr-08 99.12 102.95 98.80 101.45 2.19 2.21% 4.15
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 1.5438 1.5859 1.5341 1.5793 3.620 2.35% 5.18
04-Apr-08 1.5801 1.5897 1.5510 1.5736 -0.570 -0.36% 3.87
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 1.0090 1.0250 0.9850 0.9952 -1.390 -1.38% 4.00
04-Apr-08 0.9937 1.0210 0.9870 1.0057 1.050 1.06% 3.40
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レン
28-Mar-08 1.9815 2.0192 1.9759 1.9942 1.280 0.65% 4.33
04-Apr-08 1.9957 2.0048 1.9728 1.9931 -0.110 -0.06% 3.20
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 0.9012 0.9252 0.8978 0.9174 1.57 1.74% 2.74
04-Apr-08 0.9162 0.9226 0.9031 0.9223 0.49 0.53% 1.95
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 1.0252 1.0306 1.0093 1.0223 -0.07 -0.07% 2.13
04-Apr-08 1.0222 1.0325 1.0017 1.0083 -1.40 -1.37% 3.08
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 0.7910 0.8100 0.7883 0.7971 0.54 0.68% 2.17
04-Apr-08 0.7947 0.7957 0.7781 0.7890 -0.81 -1.02% 1.76
円クロスでは:
期末も過ぎ、クレジットリスクも目先は弱まり、日経平均株価は12,609.42(前週+393.02)、NYダウも2,370.98(109.80)と上昇、前週に続き1%~2%台のJPY安が続いている。特に上昇幅が大きいのはCADで3.48%(3.38円)JPY安、一番低いCHFでも0.97円(1.23%)JPY安となっている。ただ、週末に発表された米雇用統計が弱くJPYがやや買い戻されて越週となった。
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 89.60 92.51 89.45 91.03 1.24 1.38% 3.06
04-Apr-08 90.81 94.39 90.43 93.57 2.54 2.79% 3.96
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 196.96 201.73 196.70 197.88 0.60 0.30% 5.03
04-Apr-08 197.81 205.11 196.86 202.22 4.34 2.19% 8.25
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 96.92 99.33 96.79 97.20 -0.08 -0.08% 2.54
04-Apr-08 96.93 102.24 96.59 100.58 3.38 3.48% 5.65
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 153.47 158.35 153.10 156.77 3.12 2.03% 5.25
04-Apr-08 156.66 161.09 156.06 159.67 2.90 1.85% 5.03
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 98.48 100.70 97.82 99.70 1.06 1.07% 2.88
04-Apr-08 99.72 101.68 99.38 100.85 1.15 1.15% 2.30
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
28-Mar-08 78.63 81.02 78.49 79.08 0.26 0.33% 2.53
04-Apr-08 78.76 81.34 77.92 80.05 0.97 1.23% 3.42
IMM通貨先物:
商品先物取引委員会(CFTC)が公表した建玉報告によると:
4月4日に発表された1日の数字では、大口投機家のネットロングポジション(ドル売り)は、先物で52,298枚+オプション48,923枚と、前週比では4週間ぶりにロングが14,695枚減少、小口投機家では先物+オプションでロングポジションが880枚減少ドルの買い戻しが入っていた。先物ではAUDを除く全ての通貨でドル買いが強く、ロングポジションが減少、GBPはショート2,760となったが、唯一AUDは36,968と微増となり買い意欲が強かったことが判る。
JPY Long Short Net
25-Mar-08 88,691 22,771 65,920
01-Apr-08 78,135 25,837 52,298
EUR Long Short Net
25-Mar-08 90,956 48,185 42,771
01-Apr-08 80,290 51,218 29,072
GBP Long Short Net
25-Mar-08 44,244 24,516 19,728
01-Apr-08 34,114 36,874 -2,760
CHF Long Short Net
25-Mar-08 30,768 19,987 10,781
01-Apr-08 30,785 21,904 8,881
CAD Long Short Net
25-Mar-08 28,183 26,005 2,178
01-Apr-08 28,382 27,659 723
AUD Long Short Net
25-Mar-08 40,242 4,622 35,620
01-Apr-08 41,035 4,067 36,968
NZD Long Short Net
25-Mar-08 12,476 3,025 9,451
01-Apr-08 11,600 4,146 7,454
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想:
USD 4月30日 2.25% 0.25%の引下げを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 4月10日 4.0% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 4月10日 5.25% 0.25%の利下げを予想(Base Rate)
JPY 4月 9日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 5月 6日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 4月24日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 4月22日 3.50% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 4月23日 5.25% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK 4月23日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週の経済指標・その他では、
今週は米国の主要経済指標の発表も無く、3つのイベントリスクに注意する必要がある。
①11日のワシントン財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、市場では金融安定化に向けた話し合いが中心で、為替政策に関しては米国がドル高政策は変わらず、欧州が過度の為替の変動を憂慮すると、大枠では今までと変更が無いことが予想されているが、FRB・米財務省のベアー・スターンズ社救済後、発のG7だけに何が飛び出すかわからない。
②10日のイングランド銀行(BOE)と欧州中銀(ECB)の政策金利発表で、ECBは金利据え置きほぼ確実と思われているが、トルシェECB総裁の記者会見は非常に重要。BOEは政策金利0.25%引き下げ予想が多くなっているが、インフレを懸念する声と、景気鈍化を危惧する声が混在し、利下げが無ければポンド買いが強まる。
③8日のFOMC議事録の発表では、各週の実情を把握でき、米経済の状況を知る意味でも重要となっている。
住宅関連では、7日=豪住宅建設許可件数、カナダ建設許可件数、8日=カナダ住宅着工件数、米中古住宅販売保留、11日=カナダ新築住宅価格指数。
成長関連では、9日=ユーロ第4四半期GDP、11日=米ミシガン大消費者信頼感指数。
貿易関連では、7日=豪貿易収支、9日=独貿易収支、10日=英貿易収支、カナダ貿易収支、米貿易収支。
インフレ関連では、10日=ノルウェーCPI、11日=独PPI、米輸入物価指数、日本企業物価指数。
雇用関連では、7日=スイス失業率、10日=豪雇用統計、米新規失業保険申請件数、
金融政策では、9日=日銀金融政策決定会合(0.5%政策金利据置き予想)、10日=イングランド銀行、欧州中銀、南ア中銀政策金利0.5%引き上げ11.5%を予想)。
●ドル円
ドル円は、3月14日ベアー・スターンズ救済で、米財務相が事実上損失を保証することを実施し、米金融危機が最悪期を脱したとの判断のようで、ひとまず落ち着き、株価の上昇=円売りの流れとなっている。短期的には98~101円の揉み合いから上抜けした相場だけに、上値をトライすることは予想しやすいが、米雇用統計の悪化に、今後数四半期に渡り米国の経済成長は鈍化傾向が続き、低金利政策を続けざるを得ない状況が続き、本格的なドル反騰相場とは言いがたい状況となっている。今週は上値を試しながらも、今後のドル下落リスクを秘め、売り買いが交錯する相場展開となりそうである。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、下限を一時割り込みながらも値を戻し、ラインの下限から中間での取引が続いている。上値のポイントは、102.93円、103.68円、104.13円。下値のポイントは、100.65円、99.02円、97.80円、95.73円。RSIは32と売り→買い→横ばいと変わり、トレンドモメンタムは長く売りを継続している。トータルの判断は、短期チャートではドル買いのサインが目立っているが、中期的なWeeklyチャートでは引き続き売りを継続、短期的なドルの買い戻しが見られるが、101円~103.68円、99円~103.68円のレンジでの取引を予想している。Daily=買い、Weekly=売り、Monthly=売り。
●ユーロドル
ユーロドルは、相変わらず安値では中銀筋や政府系ファンドの買いが入り、1.55をベースに、1.55~1.58の狭いレンジ相場が形成されている。今週10日のECB理事会では4.0%の金利据え置きは既定事実とされ、トルシェECB総裁の記者会見で相場の流れが変わる可能性も残る。30日のFOMCでは0.25%利下げ予想が大勢を占める中、金利差は拡大する一方で、11日のワシントンG7へ向けた討議もユーロ高懸念が表明され行動に移される可能性は低く、激しい金融不安の状況下で、為替政策の転換を表明することは考え難い。結果、1.55~1.58のレンジ継続か、下値リスクがやや強くなっているが、それでも1.53台が下限で、上昇傾向は変わらずと見ている。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇ラインの上限を超え、上昇トレンドが続いている。上値のポイントは、1.5916、1.6017、1.6317、1.6909。下値のポイントは、1.5552、1.5340~58、1.5024。RSIは67と長い上昇ラインが続き、トレンドモメンタムも買いを継続している。トータルの判断は、短期チャートでは売りに変わり、一時的に下落する可能性を秘めながらも、中期的な買いを継続していることで、売り先行で→買いに変化する柔軟性が必要である。1.5350~1.5900のレンジでの取引を予想している。Daily=売り、Weekly=買い、Monthly=買い
●ポンド円
ポンド円は、10日のBOE理事会では政策金利0.25%引き下げ予想が大勢だが、実際のところイングランド銀行は金利引き下げをしたいのか、維持をしたいのか、良く判らない状態が続いている。通貨当局者からはGBP安必至との悲観的な予想が飛び出し、景気鈍化に利下げやむなしとの思惑が広まるが、逆に、インフレを警戒し景気鈍化やむなしとの意見に、利下げ観測が弱まるなど、他国と同じであるが、景気鈍化+インフレ進行を両天秤にかけ、日々慎重に行動しているように思われる。英系銀行の金融不安は払拭できず、先週一時的に2.0の大台を回復したGBPUSDであるが、金融不安も絶えずついて回り本格的なGBP上昇も難しい。GBPJPYは目先買いに変化しているが、BOE理事会後の流れには注意。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの下限から中間での取引となっている。上値のポイントは、205.61円、213.70円、214.01円、214.77円、220円。下値のポイントは、200.62円、198.42円、197.60円、195.62円、191.29円。RSIは29と長い下降ラインを継続し、トレンドモメンタムも売りを継続している。トータルの判断は、短期チャートは買いに変わり上値を試すことが予想されるが、中期は売りを継続しており、買い→売りへの変化に柔軟に対応する必要がある。197円~214円のレンジでの取引を予想している。Daily=買い、Weekly=売り、Monthly=売り。