外国為替再入門 10 固定相場制、変動相場制
管理変動相場制
為替レートを決定する制度には、大きく分けて固定相場制と変動相場制があります。固定相場制は、文字通り為替レートを固定している制度です。かつて、ドル円相場が1ドル=360円と固定されていた時代がありましたが、これが固定相場制です。為替レートは通貨当局によって管理・操作されます。
それに対し、為替レートを市場に任せて自由に動く制度が変動為替制度です。フロート制とも言います。為替レートは市場での需要と供給によって決定されます。
固定相場制の中には一定の変動幅を設けて変動を許容する場合もあります。また、変動相場制でも、一定の変動幅の中で動くように中央銀行が操作する場合もあります。これを管理変動為替制度といいます。為替変動の許容幅がないのが固定相場制、一定の幅で変動を許容する制度を管理変動為替制度、価格決定権が市場にあるものを変動相場制といいます。
これらの他に、自国通貨を特定の通貨にリンクさせ、リンク先通貨を準備通貨として保有する通貨制度をカレンシー・ボード制と言います。ペッグ制などと言ったりもします。香港はドルにリンクさせているためドル・ペッグ制などと言います。香港の場合は、2005年から小幅に変動幅を許容しています。
固定相場制から変動相場制への移行
第2次世界大戦後の為替制度は、ブレトンウッズ体制による固定相場制が長く続きました。ブレトンウッズ体制とは、ドル金本位制とも言われ、アメリカ合衆国がドルと金の交換を保証し、各国は国際取引の決済通貨、準備通貨としてドルを利用する体制です。各国は自国通貨をドルに対して一定の為替レートを設定することができました。しかし、1950年代に、アメリカによるヨーロッパ、アジアの復興援助により金・ドルの流出が増大し、1960年代になってアメリカの金準備が対外ドル債務を下回る結果となりました。
国際決済通貨としてのドルの地位は揺らぎ、1971年8月、ドル金交換を停止しました。これがニクソンショック、ドルショックです。1971年12月、10カ国蔵相会議が開催され、1934年に1ドル=金1/35オンスであった交換比率が1ドル=金1/38オンスに切り下げられ、さらに1973年には金1オンス=42.22ドルへと10%の切り下げが実施されました。ドル金交換比率を引き下げ、再度固定相場制(スミソニアン体制)に戻しましたが、この年、EC諸国は変動為替相場制(フロート制)を採用し、固定相場制は崩壊しました。日本も1973年に変動相場制に移行しています。
このような経緯から、現在は主要通貨間は変動相場が主流となっています。しかし現実は、主要通貨以外の通貨は固定相場制、管理変動相場制が主流となっています。日本は変動相場制を採用していますが、2000年から2004年初頭まで為替介入がたびたび行われ、実質的には管理変動相場制とも取れるほどの介入額でした。
各為替制度採用国
変動相場制
アメリカ
ユーロ圏
カナダ
イギリス
スイス
オーストラリア
ニュージーランド
メキシコ
日本
管理変動相場制
マレーシア
中国
シンガポール
タイ
チリ
ロシア
デンマーク
イラン
固定相場制
ベネズエラ
サウジアラビア
ベトナム
カレンシー・ボード制
香港