2008年4月27日 今週の為替戦略

先週は、米国の評価が上がり、ドル高の週となった。
FOMCで政策金利が0.25%引下げられ、声明からは利下げサイクルが終了との思惑が広まり、米第1四半期GDPは前期比0.6%と予想の0.3%を上回り前期と同じ水準を維持、リセッションとも言われている米経済の底が見えたとの思惑が広まった。米雇用統計では失業率が5.0%と前回5.1から低下、非農業部門雇用者数も-2万人と市場予想の-7.5万人から改善している。


サブプライムローンの危機が表面化してから続いたドル売るも転機を迎え、EURUSDは25日週高値1.6020をピークに、先週は一時1.5360まで大幅に下落、テクニカルでは当面のターゲットまで値を下げている。NYダウは年初の1月3日以来久々の13,000円台を回復、米10年債も前週に続き利回りは3.8台に定着、4月18日=3.743%、4月11日=3.466%と上昇傾向にある。


市場では、ドルショートポジションの巻き戻しがドル高の要因との考えに、ドル高の流れも限定的との見方と、いや、本格的なドル買いに反転するとの思惑が交錯したが、今のところはドルベア派のドルの戻り売りが次々に破れている。


ユーロ圏のインフレ指標では、ユーロ圏4月のCPIが前年比3.3%と前回3.5%からやや低下、独CPIは前年比2.4%と前回3.1%から急低下し、インフレ圧力が弱まることが期待され、ユーロの利上げ観測も後退している。英国も、キングBOE総裁の意見に反して、ブランチフラワーBOE政策委員は、ポンドは更に下落する可能性があり、ポンド下落は景気を刺激する可能性があり、リセッション回避のため積極的な利下げが必要ともいっている。


結果、EURUSD=1.55の重要なポイントを割り込み、EURGBPの売りも加わりユーロ売りが加速、USDJPY=105円の壁を超え、USDCHF=1.05の壁を上抜けし、GBPUSD=1.96近くまで下げ、長期間続いたドルの買い戻しが続いた。


今週は、日本はゴールデンウイークの後半が始まり、ロンドン市場も5日に休場、パリ市場は8日に休場となる。注目点は、予定をひと月前倒しして実施した米減税効果期待のドル買いが何処まで続くのか? 米金利が何処まで上昇できるのか? ユーロ圏のインフレ圧力が弱まりユーロが続落するのか?


市場参加者の多くは、ドルがどこまで戻るのかを確かめる、時期と考えており、ドル買い→失敗→下落を繰り返す相場になりそうである。EURUSDは1.53台半ばの目先のターゲットを達成、下げ止まることを期待したいが、下落が続くようなら、次は1.48台を目指す動きになりやすい。USDCHFは1.6台半ば、USDJPYは106台半ばが、今週のドル高のターゲットと考えている。


また、円クロスでは、AUDJPYは買い傾向が続き、USD=CADの関連からは、USD高傾向が続くうちはCADJPYのロングも有効。


Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、

主要通貨では:
AUDUSD、NZDUSDを除きドル高の相場となっている。いままで金融不安のヘッジ通貨で、JPYと共に上昇していたCHFの下落が目立ち、USDCHF=2.2%と最もドルの上昇率が高く、EURUSD=-1.31%と下落、スペインの景気鈍化が進み、消費者物価の上昇も落ち着き、ECBの利下げ期待も薄らぎ、EURは久々に1.55の大台を割り込んでいる。USDJPY=0.94%とドルは上昇、米金融危機も終了したとの期待感に、こちらも久しぶりに105円の大台を超え、AUDUSD、NZDUSDは、商品価格の高止まりと高金利を材料に資金流入が続き、予想外に健闘している。


USDJPY    OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 103.86 104.82 102.67 104.43 0.76 0.73% 2.15 2.07%
02-May-08 104.45 105.70 103.22 105.41 0.98 0.94% 2.48 2.37%


EURUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 1.5804 1.6020 1.5555 1.5629 -1.86 -1.18% 4.65 2.94%
02-May-08 1.5610 1.5847 1.5360 1.5425 -2.04 -1.31% 4.87 3.11%


USDCHF   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 1.0181 1.0431 0.9997 1.0345 1.63 1.60% 4.34 4.26%
02-May-08 1.0354 1.0610 1.0299 1.0573 2.28 2.20% 3.11 3.01%


GBPUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レン
25-Apr-08 1.9963 2.0025 1.9679 1.9856 -1.21 -0.61% 3.46 1.73%
02-May-08 1.9844 1.9965 1.9624 1.9717 -1.39 -0.70% 3.41 1.72%


AUDUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 0.9322 0.9540 0.9290 0.9332 -0.10 -0.11% 2.50 2.68%
02-May-08 0.9333 0.9471 0.9274 0.9345 0.13 0.14% 1.97 2.11%


USDCAD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 1.0053 1.0213 0.9998 1.0135 0.94 0.94% 2.15 2.14%
02-May-08 1.0139 1.0241 1.0036 1.0193 0.58 0.57% 2.05 2.02%


NZDUSD   OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 0.7893 0.8033 0.7780 0.7817 -0.84 -1.06% 2.53 3.20%
02-May-08 0.7824 0.7879 0.7725 0.7797 -0.20 -0.26% 1.54 1.97%


円クロスでは:
円は通貨間で異なる動きとなっている。米金融不安が薄らぎヘッジ通貨の優位性も薄れ、経済成長も鈍化し、スイスの下げが最も大きく、CHFJPY=1.25%と大幅に低下し、EURGBPなどの全般的な下落に、EURJPY=0.64%の低下となっている。逆に、AUDJPY=1.08%上昇、NZDJPY=0.54%上昇、CADJPY=0.38%の上昇と、ドル高の影響と高金利への資金移動がその要因と考えられ、今後もドル高が進むとJPYも二分化することが予想される。


EURJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 164.17 164.98 162.67 163.18 -0.73 -0.45% 2.31 1.41%
02-May-08 163.03 163.90 160.61 162.54 -0.64 -0.39% 3.29 2.02%


GBPJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 207.35 208.10 203.33 207.32 0.22 0.11% 4.77 2.30%
02-May-08 207.26 209.01 203.44 207.75 0.43 0.21% 5.57 2.69%


CHFJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 101.98 102.74 100.37 100.95 -0.84 -0.83% 2.37 2.33%
02-May-08 100.85 101.35 99.04 99.69 -1.26 -1.25% 2.31 2.29%


AUDJPY   OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 96.82 98.41 96.78 97.43 0.58 0.60% 1.63 1.68%
02-May-08 97.49 98.78 96.14 98.48 1.05 1.08% 2.64 2.71%


NZDJPY   OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 81.97 82.87 81.17 81.61 -0.27 -0.33% 1.70 2.08%
02-May-08 81.71 82.54 79.93 82.15 0.54 0.66% 2.61 3.20%


CADJPY  OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
25-Apr-08 103.28 103.55 100.88 102.98 -0.22 -0.21% 2.67 2.59%
02-May-08 102.98 104.09 101.58 103.36 0.38 0.37% 2.51 2.44%


IMM通貨先物:
このデータの期日となった29日の翌日には米GDPやFOMCが、先週は週末に米雇用統計控えていた影響が響いていると思われるが、通貨間で非常に興味深いポジションとなった。JPYは約20,000コントラクト、CHFは4,000増加したが、これ以外では総じてロングポジションが減少し、全体としてドル高志向が強く現れて、特にEURは昨年の10月9日以来、久々にネットでショートになり、GBPも前週の3週間ぶりのネットロングから大幅なショートに変わり、AUDはJPYに次ぐネット約50,000コントラクトのロングとなっている。市場のJPYとAUD高のセンチメントが続いている。


JPY Long Short Net
22-Apr-08 60,353 25,266 35,087
29-Apr-08 73,485 18,035 55,450


EUR Long Short Net
22-Apr-08 81,612 62,705 18,907
29-Apr-08 48,319 69,634 -21,315


GBP Long Short Net
22-Apr-08 35,044 30,381  4,663
29-Apr-08 21,296 46,144 -24,848


CHF Long Short Net
22-Apr-08 24,731 21,722 3,009
29-Apr-08 26,625 19,624 7,001


CAD Long Short Net
22-Apr-08 43,836 26,466 17,370
29-Apr-08 31,816 24,388  7,428


AUD Long Short Net
22-Apr-08 70,348 11,850 58,498
29-Apr-08 60,245 9,780 50,465


NZD Long Short Net
22-Apr-08 12,726 4,832 7,894
29-Apr-08 10,798 5,309 5,489


今後の金利予想は:        
国 予定日 現行政策金利  予想:         
USD  6月25日 2.00% 金利据え置きを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR  5月8日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 5月8日 5.00% 金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 5月20日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 5月6日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 6月6日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF  6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 6月10日 3.00% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 5月28日 5.50% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK  7月3日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)


今週の経済指標・その他では、
今週は政策金利の発表が多く、その全てで金利据置きが予想されている。
6日=豪中銀は7.25%の現行金利の据え置きが予想され、8日=イングランド銀行も5.0%の据置き、欧州中銀も4.0%の据置きが予想され、市場では折込済みとなっており、むしろ注目は、イングランド銀行の声明や21:30時のトルシェECB総裁の記者会見を注目している。


◎インフレ関連では、
6日=スイスCPI、ユーロPPI、9日=ノルウェーCPI、独PPIの発表が予定されている。
◎住宅関連では、
6日=カナダ住宅建設許可、7日=中古住宅販売保留、8日=カナダ住宅着工件数、
◎景気先行指標では、
5日=米ISM非製造業景況指数、6日=英・独・ユーロサイビス業PMI、
◎雇用関連では、
8日=NZ・豪・スイス雇用統計、米新規失業保険申請件数、9日=カナダ雇用統計、
◎その他では、
5日=バーナンキFRB議長の講演、7日=ユーロ小売売上高、米単位労働コストが注目されている。
◎金融機関の決算では、
6日=米ファニーメイ、スイス・UBS、7日=独コメルツ銀行が注目されており、株価の変動=為替変動になりやすい


●ドル円
ドル円は、他の主要通貨と比較しても健闘しているが、105円の大台を超えたことで、先の103円台と同じように、底値を堅ながら上値を試すことが予想される。先月末に開始された米減税による効果は、個人消費を高め、これを先取りしたドル買いが続いていることもあり、今週も実需筋のドル売りが多ければ押し買いの相場に、外債投資が強ければ105円を底固めして、いずれにしても上値を試す相場となりそうである。


ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの上限近くまで上昇している。上値のポイントは、105.68円、106.58円、106.81円、107.18円、108.20円。下値のポイントは、104.10円、103.68円、103.68円、102.71円、102.07円、100.65円。RSIは上昇ラインへ変わり、トレンドモメンタムも長い売りから、未確定ながら買いに変化しつつある。トータルの判断は、103.68円~107.18円のレンジから、買いに変わりつつあり、レンジの上限を試すことが予想され、106.58~81円を超えれば、買いが加速することになる。Daily=買い、Weekly=買いに変化しつつある、Monthly=ニュートラル。


●ユーロドル
ユーロドルは、長く続いたユーロ高の流れを忘れたかのような急落となり、ついに1.55の大台を割り込み、1.53台まで下落、終盤の上昇が始まった地点に戻る大相場になっている。欧米金利差が縮小するとの思惑もあるが、欧米中銀の強調資金流動化対策が効を奏し、サブプライム問題が解決に向かうとの期待感から、いままでのユーロロングポジションの巻き戻しが、EURUSDの下落となっていると思われる。1.53を維持できれば、1.55を超え1.58近くまでの戻りを期待できるが、理由の如何を問わず、1.53を割り込むと話は別。


ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、1.60台から急速に値を下げている。上値のポイントは、1.5599、1.5758、1.6020、1.6434。下値のポイントは、1.5365、1.5302、1.5012、1.4374、1.4309。RSIは58と上昇ラインを割り込み下降ラインが続き、トレンドモメンタムは買いを継続している。トータルの判断は、1.5302~65を底値に、1.5302~1.5758のレンジを予想。1.53を割り込むとEUR売り大相場の第2弾目が開始となりやすい。Daily=売り、Weekly=売りに変化しつつある、Monthly=買いが弱まる


●ポンド円
ポンド円は、過去11日間に渡り203円~209円のレンジで取引が続き、週終値では207円台が3週間続き、多少ではあるが値を切上げ、週足では下髭が長い状態が続いている。これだけを見ればGBPJPYは買いである。英住宅関連は非常に弱く、最近の英経済指標も悪い内容が多く、利上げより利下げの可能性が引き続き高く、通貨当局者からは、住宅価格の低下から個人消費の落ち込みが懸念され、GBP安容認や利下げ支持者も多い。暫くはチャートに敬意を表しどこまで上昇できるのか見てみたい。


ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間で取引が続いている。上値のポイントは、213.48円、213.70円、214.01円、214.77円、219.80円。下値のポイントは、205.61円、204.60~75円、203.40円、200.62円。RSIは39長い下降ラインを上抜け、トレンドモメンタムも弱いながら買いに変化する可能性が出ている。トータルの判断は、205.61円~213.70円のレンジで上値を試すことを予想。Daily=買い、Weekly=200.62~210.87円、Monthly=ニュートラル。