2008年5月18日 今週の為替戦略

米金融機関の流動化対策が効を奏し金融不安が一段落し、米国の大型減税に個人消費の拡大が期待でき、預金準備金の金利付加案に、金融機関の収益改善の期待感も見込まれている。米金利は4月4日週をボトムに、昇転しドルは回復していたが、4月25日週をピークに金利上昇は足踏みし、ドルの上昇も弱まり、期待と不安感とが交錯し、全体では為替変動幅も一時期と比較したら緩やかなものとなっている。


ユーロは、ユーロ圏の第1四半期GDPは前年比2.2%(予想1.8%)と、予想外の成長となった半面、3月の貿易収支は-23億ユーロと、ユーロ高と原油価格の上昇に、予想5億・前回8億ユーロから低下し、予想外の赤字となった。また、トルシェECB総裁やアルムニア欧州委員会委員は、第2四半期の成長は減速する可能性が高いと発言、今後の成長に不安が残り、強気なユーロ高相場も描き難い状況となっている。


ポンドは、英銀行改革法や所得減税がプラスと判断されるが、金融市場が不安定で、住宅価格の下落が続き(RICS住宅価格=-95.1と1978年来の低水準)、小売売上高も前年比1.0%と過去3年で最も弱い。逆に、生産者物価は前年比7.5%と、予想6.4%・前回6.5%を大幅に上回り、消費者物価指数は前年比3.0%と、予想2.6%・前回2.5%から上昇、インフレリスクが拡大した。イングランド銀行の四半期インフレ報告では、年後半に3.7%をピークに2年間で2%のインフレターゲット以下に収まると指摘されているが、いままでの利下げ観測が払拭され、金利上昇=景気後退と、BOEは非常に難しい舵取りを迫られて、ポンド売りの要因となっている。


円は、ドル円が日米金利差に非常に敏感に反応し、金利差拡大によりドルショートポジションの巻き戻しにドル円は上昇、金利差拡大傾向が弱まると、ドル円の売りが再開され円高に動いている。今週もこの流れが続きそうで、2%のFFレートの下げ止まりと、長期に渡る金利は据え置きが予想され、結果的に買い戻された比率に応じてドル円は下落しそうで、クロス円中心の相場展開が中心になりそうで、AUDJPYがどこまで上昇できるか注目したい。


ドルは、ユーロや豪ドルが上昇しドル安の不安感も残る。EURUSDは5月1日以降はじめて終値で1.55台を示現し、AUDUSDは過去最高を更新、0.95台まで急伸、強気なドルのセンチメントも弱まりつつある。この流れが連休(来週5月26日月曜、米国・英国が祭日で休場)を控えた週にどのように影響するのか気になる。反落しドル買いとなる相場も否定できないが、これらの通貨が先導してドル売りを加速させる可能性が高い。


先週は、日経平均株価は14219.48円と4.13%上昇、NYダウは12986.80ドルと1.89%上昇したが、前週の下げを回復できず引き続き13,000円を割り込んでいる。金価格は上昇したが(899.90←885.80)、原油価格は上昇も落ち着き(126.29←125.96)、ドルは小幅ながら値を下げ、円もクロスでは値を下げて、長期金利は(10年国債利回り)は、日本=1.675%(前週1.555%)、米国=3.85%(前週3.769%)と金利が上昇し、日米金利差は2.175%まで縮小している。

Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、

主要通貨では:
全体では変動幅も狭まり落ち着いた相場で、低金利通貨でドル高→高金利通貨ではドル安と、ドルは通貨間で変動に差が生じている。USDJPYは+1.25%と最もドルが上昇、逆にAUDUSDは7.25%高金利のキャリートレードとCRBが一時430に乗るなど商品価格の上昇に、+1.21%とAUDが上昇しUSDは下落、全体で見ると$Indexは72.779(前回73.056)とややドル高に振れている。


USDJPY    OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 105.20 105.63 102.61 102.82 -2.59 -2.46% 3.02 2.87%
16-May-08 103.04 105.45 102.57 104.07 1.25 1.22% 2.88 2.80%


EURUSD   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 1.5435 1.5595 1.5285 1.5482 0.57 0.37% 3.10 2.01%
16-May-08 1.5451 1.5602 1.5365 1.5579 0.97 0.63% 2.37 1.53%


USDCHF   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 1.0554 1.0625 1.0396 1.0411 -1.62 -1.53% 2.29 2.17%
16-May-08 1.0417 1.0601 1.0405 1.0477 0.66 0.63% 1.96 1.88%


GBPUSD   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 1.9727 1.9782 1.9460 1.9539 -1.78 -0.90% 3.22 1.63%
16-May-08 1.9507 1.9635 1.9365 1.9576 0.37 0.19% 2.70 1.38%


AUDUSD   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 0.9357 0.9506 0.9341 0.9434 0.89 0.95% 1.65 1.77%
16-May-08 0.9403 0.9560 0.9291 0.9555 1.21 1.28% 2.69 2.85%


USDCAD   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 1.0193 1.0198 0.9998 1.0052 -1.41 -1.38% 2.00 1.96%
16-May-08 1.0057 1.0105 0.9943 0.9991 -0.61 -0.61% 1.62 1.61%


NZDUSD   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 0.7816 0.7935 0.7649 0.7692 -1.05 -1.35% 2.86 3.67%
16-May-08 0.7665 0.7744 0.7536 0.7741 0.49 0.64% 2.08 2.70%


円クロスでは:
久々に円全面安の展開となった。為替変動率が下がり、キャリートレードが積み上がりやすく、円と同じクレジットリスクのヘッジ通貨のCHFに対して弱い。AUDJPY=2.46%と最も上昇率が高く、EURJPY=1.86%、NZDJPY・CADJPY=1.79%と大幅な円売りとなった。


EURJPY   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 162.39 163.10 158.60 159.17 -3.37 -2.07% 4.50 2.77%
16-May-08 159.22 162.95 158.65 162.13 2.96 1.86% 4.30 2.70%


GBPJPY   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 207.53 208.30 199.77 200.97 -6.78 -3.26% 8.53 4.11%
16-May-08 201.00 204.98 200.16 203.62 2.65 1.32% 4.82 2.40%


CHFJPY   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 99.64 100.06 98.26 98.82 -0.87 -0.87% 1.80 1.81%
16-May-08 98.89 99.89 98.44 99.31 0.49 0.50% 1.45 1.47%


AUDJPY   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 98.44 99.83 96.29 97.05 -1.43 -1.45% 3.54 3.59%
16-May-08 96.89 99.79 96.39 99.44 2.39 2.46% 3.40 3.50%


NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 82.21 83.02 78.51 79.11 -3.04 -3.70% 4.51 5.49%
16-May-08 78.97 80.84 78.51 80.53 1.42 1.79% 2.33 2.95%


CADJPY   OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
09-May-08 103.17 105.36 101.59 102.30 -1.06 -1.03% 3.77 3.65%
16-May-08 102.41 105.57 101.90 104.13 1.83 1.79% 3.67 3.59%

IMM通貨先物:
各通貨ともロングポジションが減少、EUR・GBPを除きショートポジションが拡大し、結果としてはドルの信認が高まったことを示している。JPYロングポジションは4月22日週の水準まで低下、CAD・AUD・NZDはロングながらも減収し、CHFはショートが増加、EUR・GBPはやや減少したがショートポジションが継続している。


JPY Long Short Net
06-May-08 69,355 20,620 48,735
13-May-08 62,209 28,393 33,816


EUR Long Short Net
06-May-08 54,383 66,895 -12,512
13-May-08 55,409 64,908 -9,499


GBP Long Short Net
06-May-08 13,874 44,311 -30,437
13-May-08 25,873 50,677 -24,804


CHF Long Short Net
06-May-08 19,125 23,262 -4,137
13-May-08 13,758 31,194 -17,436


CAD Long Short Net
06-May-08 48,104 16,392 31,712
13-May-08 46,246 16,837 29,409


AUD Long Short Net
06-May-08 75,627 10,206 65,421
13-May-08 69,793 12,339 57,454


NZD Long Short Net
06-May-08 11,449 5,112 6,337
13-May-08 11,193 7,749 3,444

今後の金利予想は:
国   予定日  現行政策金利  予想:         
USD  6月25日 2.00% 金利据え置きを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR  6月5日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 6月5日 5.00% 金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 5月20日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 6月3日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 6月4日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF  6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 6月10日 3.00% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 5月28日 5.50% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK  7月3日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)

今週の経済指標から、重要な経済指標の発表は少なく、特に米国の経済指標は極端に少なくなっている。その中で、注目されているのは、21日=イングランド銀行(BOE)MPC議事録とFOMC議事録、そして、22日=米住宅価格指数となっている。先週発表されたBOE銀行四半期インフレレポートでは、直近の利下げ観測は払拭され、年後半にインフレが落ち着くことが予想され、来年からは緩やかな利下げ期待が残っている。PMC議事録では8対1で金利据え置きが決定されたと予想され、これが変わるようならインパクトは大きい。FOMCでは政策金利が0.25%引き下げられ、来年中旬までは金利が据え置かれることが予想されており、それを裏付けることができるのか、また意外な討議がされたのか気になる。米連邦住宅公社監督局(OFHEO)が発表する米住宅価格指数も影響力は大きい。


◎住宅関連では、19日=英ライトムーブ住宅価格、22日=米住宅価格指数、23日=米中古住宅販売件数が予定さえ、相変わらず市場へのインパクトは大きい。
◎金融政策では、20日=日銀(金利据え置き予想)、21日=イングランド銀行MPC議事録、米FOMC議事録、23日=日銀金融政策決定会合議事要旨と発表され、今週の波乱要因となっている。
◎インフレ関連では、20=独PPI、スイス価格指数、米PPI、21日=カナダCPIが予定されている。
◎景況感判断では、20日=独・ユーロZEW景況感調査、シカゴ連銀全米活動指数、21日=独Ifo,スイスZEW景況感指数、23日=独・ユーロPMI速報値が予定され、景気の判断を先取りする発表だけに、今後の方向性を判断できる。
◎個人消費関連では、22日=英・カナダ小売売上高で個人消費が判断され、インパクトは大きい。
◎成長関連では、21日=ノルウェーGDP、23日=英GDPが予定されている。


●ドル円
ドル円は、日本国内の政治的な動きや経済を見ていると、日本の国際競争力の低下、財政赤字の増加、人口の減少等、良い状況を挙げることはむ難しく、円高に動くことを期待することは非常に難しい。しかし、為替とは相対的なもので、他がより悪ければ悪いなりに買われるもので、国内の機関投資家は外債投資を控え、ファンドはキャリートレードを再開しているが、まだ本格的とは言いがたい。先々週は102.61円~105.63円、先週は102.57円~105.45円と、レンジ相場が続き、今週もドル円主導での、方向感は定まらない状態が続きそうである。


ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間から上限で取引が続いている。上値のポイントは105.68円、106.40円、106.58円、108.17円、108.60円。下値のポイントは、103.68円、102.50円、98.13円、97.73円。RSIは38と上昇ラインも消滅し、トレンドモメンタムは買いを示唆している。Monthlyチャートは98.13円~106.57円のレンジに入り、RSIは30と横ばいで、トレンドモメンタムは売りを続けている。Dailyチャートは、102.50円~106.00円のレンジで上値が重くなり、RSIは67と買いがやや強く、トレンドモメンタムも買いを継続。トータルの判断は、短期的には買いが強まる可能性が残るが、106.58円を超えるまではドル下落のリスク続き円高を期待したい。Daily=買い~ニュートラル、Weekly=ミックス~売り、Monthly=売り。


●ユーロドル
ユーロドルは、2週間ぶりに1.55台で終了した。1.52台で下値が確認され、1.53~1.55のレンジ相場を上抜けし上振する可能性が残るが、それには1.60の大台を超えることが前提となる。予想を上回るGDPにユーロ買い再開の期待が持てる反面、今後の成長拡大は望めず、景気鈍化にインフレリスク軽減を期待するような状況では、大幅なユーロ買いも期待薄。今週は買い先行で高値を試すことを期待しながら、上値が失敗すると、大幅なユーロ売り繋がりそうで、厄介である。


ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、1.5043~1.6058のレンジで取引が続いている。上値のポイントは、1.5916、1.6008、1.6058、1.6909。下値のポイントは、1.5365、1.5302、1.5002、1.4961、1.4374、1.4309。RSIは62と長かった上昇ラインも崩れ、下降ラインに変わっているが、トレンドモメンタムは買いを継続している。Monthlyチャートは、上昇トレンドが続き、1.5012~1.6434のレンジに入り、RSIは81と上昇ラインが崩れたが、トレンドモメンタムは買いを継続。Dailyチャートは、1.5340~1.6000のレンジに入り上限を試して、RSIは下降ラインを維持、トレンドモメンタムも売りを継続している。トータルの判断は、1.53~1.56のレンジに入るか、1.53~1.59のレンジに入るのか、上値を試し、逆に失敗したら、レンジ相場に逆戻り。Daily=売り、Weekly=買い、Monthly=買い。


●ポンド円
ポンド円は、ポンドドルが1.94の重要な下限を何とか維持し1.96まで値を戻し、下落リスクが弱まっているが、引き続き下げ方向が強く続いている。利下げ見通しはインフレリスクが高まり後退したと思われるが、景気後退=インフレリスク低下期待に、年後半の利下げの思惑は払拭されていない。先週はクロス全体で円は弱含みの週となったが、円売りが進むほど、下落リスクが拡大しているように思えてならない。


ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間近くで取引が続いている。上値のポイントは、205.61円、213.70円、214.01~04円、218.89円。下値のポイントは、200.62円、195.62円、191.29円。RSIは34と下降ラインが崩れて横ばいとなり、トレンドモメンタムは買いに変化しそうである。Monthlyチャートは、198.21円~214.48円が両サイドのターゲットとなり、RSIは下降ラインから横ばいに変わり、トレンドモメンタムは売りなっている。Dailyチャートは、200円~205.50円のレンジで、RSIは57と横ばいで、トレンドモメンタムは売りに変化している。トータルの判断は、何処まで上昇できるのか上値を試し、失敗したら売りに変化する柔軟性が必要。Daily=売り、Weekly=ニュートラル~買い、Monthly=売り。