2008年5月25日 今週の為替戦略
先週の動きは:
数週間前までは、米金融市場の安定+米景気の回復期待+利下終了にドル高が続いていたが、FOMC議事録で成長リスクと利上げ期待に米株価は下落、ドル売りとなった。ユーロ圏では、独ZEW、Ifo景況指数が強く、景気回復期待とインフレ懸念から利下げ期待が払拭され、EURUSDは1.5486→1.5814まで、GBPUSDは、英小売売上高は予想よりマイナス幅が狭く、EURGBPの売りに1.9454→1.9850まで上昇した。
豪中銀理事会の議事録では、「需要が予想通り鈍化しなければ金利の見直しが必要」と、利上げの可能性が残り、消費者センチメントが強く、商品価格の上昇を背景に、AUDUSDは0.9510→0.9653と24年来の高値を更新、ドル売りを先導した。また、NZ政府が発表した予算案で4年間減税に利下げ観測が弱まり、AUDNZDは1.2408→1.2150まで大幅に低下、AUDドルの上昇も弱まった。
原油価格や商品価格の高騰が続き、コモディテー通貨が強く、AUDUSDが上昇する中で、USDCADは0.9999→0.9817まで下落、低金利通貨のCHFは、EURCHFの売り1.6377→1.6142と、週末には、海外3連休前にキャリートレードの巻き戻しに、USDCHFは1.0573→1.0216までドルは下落、USDJPYは104.69→102.73と円高となった。
今週の予想:
最近の為替相場は、①株価の上下と、②金利差と、③原油価格を見ながらの取引が多くなっている。先週と先々週を比較しても、NYダウは下落=13136.69→12460.09(-507.17 -3.91%)、独DAXも下落=7231.86→6934.54(-212.50 -2.97%)、日経平均株価も下落=14343.19→13658.02(-207.28 -1.46%)と、米国株の下落が最も大きくなった。
金利差では、10年国債利回りを前週と比較して見れば、日本=1.695%(前週1.675%)、米国=3.85%(前週3.85%)、独=4.264%(前週4.178%)、英=4.927%(前週4.777%)、豪=6.528%(前週6.328%)と、各国共に米国より上昇率は高い。
原油価格は、132.19ドル(前週126.29ドル)と4.67%上昇した。この流れが続くことは予想され、全てにおいてドルにとってはマイナス材料で、今週もドル売りの流れが続くことが予想される。
米国は一時ほどの回復期待や金融安定の思惑は弱まっているものの、減税による米景気回復期待は引き続き残り、FOMC議事録でCPIがFEDのインフレターゲットの2.0%を上回ることが見込まれ、金利先物市場では9月16日にFOMCで0.25%利下げを、33.2%の確立で折り込むなど、特にドルを売り急ぐ材料も少ない。ドルショートポジションの巻き戻しから、ドルショートの積み増しに動き始めたが、まだ、主要国通貨のロングポジションもそれほど拡大しおらず、ドル売りセンチメントが続き、週前半はドル売りの流れが続き、後半からはドルの買い戻しが入りやすい。
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、
主要通貨では:
米金利の低下サイクル終了と米景気回復の期待のドル買いも収束し、ドルは面安の週となった。特に、USDCHFは-2.26%とEURCHFの売り(1.6377→1.6131)もありCHFの上昇が目立ち、キャリートレードの巻き戻しもあり、久しぶりの上昇率となった。次いで、NZDUSDは1.36%と長期減税が評価され買いが始まり、AUDNZDの売り(1.2408→1.2150)の影響を受けたAUDUSDを除き、各通貨とも1%近く上昇(ドル下落)している。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 103.04 105.45 102.57 104.07 1.25 1.22% 2.88 2.80%
23-May-08 104.02 104.69 102.73 103.38 -0.69 -0.66% 1.96 1.88%
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 1.5451 1.5602 1.5365 1.5579 0.97 0.63% 2.37 1.53%
23-May-08 1.5594 1.5814 1.5486 1.5762 1.83 1.17% 3.28 2.11%
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 1.0417 1.0601 1.0405 1.0477 0.66 0.63% 1.96 1.88%
23-May-08 1.0458 1.0573 1.0216 1.0240 -2.37 -2.26% 3.57 3.41%
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 1.9507 1.9635 1.9365 1.9576 0.37 0.19% 2.70 1.38%
23-May-08 1.9567 1.9850 1.9454 1.9793 2.17 1.11% 3.96 2.02%
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 0.9403 0.9560 0.9291 0.9555 1.21 1.28% 2.69 2.85%
23-May-08 0.9565 0.9653 0.9510 0.9589 0.34 0.36% 1.43 1.50%
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 1.0057 1.0105 0.9943 0.9991 -0.61 -0.61% 1.62 1.61%
23-May-08 0.9996 0.9999 0.9817 0.9897 -0.94 -0.94% 1.82 1.82%
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 0.7665 0.7744 0.7536 0.7741 0.49 0.64% 2.08 2.70%
23-May-08 0.7747 0.7902 0.7705 0.7846 1.05 1.36% 1.97 2.54%
円クロスでは:
小幅ながらJPYは、AUDJPYを除き円安の展開となった。CHFJPYは1.62%と上昇率は最も高く、円クロスでもEURCHF下落の影響を受けている。その他では0.5%前後のJPY下落率と緩やかなJPY下げに止まり、逆に、AUDJPYは-0.31%の下げで、こちらもAUDNZD売りの影響を受けている。
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 159.22 162.95 158.65 162.13 2.96 1.86% 4.30 2.70%
23-May-08 162.25 163.87 161.46 162.93 0.80 0.49% 2.41 1.49%
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 201.00 204.98 200.16 203.62 2.65 1.32% 4.82 2.40%
23-May-08 203.55 206.54 202.60 204.63 1.01 0.50% 3.94 1.93%
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 98.89 99.89 98.44 99.31 0.49 0.50% 1.45 1.47%
23-May-08 99.44 101.04 98.90 100.92 1.61 1.62% 2.14 2.15%
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 96.89 99.79 96.39 99.44 2.39 2.46% 3.40 3.50%
23-May-08 99.50 100.04 98.88 99.13 -0.31 -0.31% 1.16 1.17%
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 78.97 80.84 78.51 80.53 1.42 1.79% 2.33 2.95%
23-May-08 80.59 81.87 79.77 81.11 0.58 0.72% 2.10 2.61%
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
16-May-08 102.41 105.57 101.90 104.13 1.83 1.79% 3.67 3.59%
23-May-08 104.03 105.87 103.96 104.41 0.28 0.27% 1.91 1.83%
IMM通貨先物:
期間中はJPY、CAD、AUD、NZDのロングが拡大しドル売りをリード、EURがショートからロングに変化し、CHFのショートは減少した。GBPだけが唯一ショートが拡大、その後のポンド上昇の要因ともなっている。
JPY Long Short Net
13-May-08 62,209 28,393 33,816
20-May-08 65,203 25,155 40,048
EUR Long Short Net
13-May-08 55,409 64,908 -9,499
20-May-08 70,240 63,399 6,841
GBP Long Short Net
13-May-08 25,873 50,677 -24,804
20-May-08 22,233 47,573 -25,340
CHF Long Short Net
13-May-08 13,758 31,194 -17,436
20-May-08 19,037 23,980 -4,943
CAD Long Short Net
13-May-08 46,246 16,837 29,409
20-May-08 53,118 21,700 31,418
AUD Long Short Net
13-May-08 69,793 12,339 57,454
20-May-08 72,418 11,117 61,301
NZD Long Short Net
13-May-08 11,193 7,749 3,444
20-May-08 12,274 7,733 4,541
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想:
USD 6月25日 2.00% 金利据え置きを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 6月5日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 6月5日 5.00% 金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 6月13日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 6月3日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 6月4日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 6月10日 3.00% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 5月28日 5.50% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK 7月3日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週は、週末金曜日に多くの経済指標の発表が予定され、特に重要な経済指標の発表もなく、英経済指標は極端に少なくなくなっている。その中で、国内要因として注目したいのは、日本の全国CPIで、ガソリン価格の一時的な低下から、前月から低下が予想されているが、東京都部ではこの要因が除かれた5月ではインフレ傾向が続き、債券利回りの上昇、株価+為替へもその影響が波及する。また、ユーロ圏CPIは前月比3.5%と再び上昇傾向が予想され、米個人消費支出のコアPCEの低下が予想されているが、こちらも注意して見る必要がある。
◎住宅関連では、26日=英ホームトラック住宅価格、27日=米新築1戸建て住宅販売件数、28日=ネーションワイド住宅価格、30日=NZ住宅建設許可が控えている。
◎インフレ関連では、未定=独CPI、30日=日本CPI、ユーロCPIが注目される。
◎成長関連では、27日=独GDP、29日=米第1四半期GDP、30日=カナダGDPが注目される。
◎個人消費関連では、未定=独小売売上高、30日=米個人所得・消費支出が注目される。
◎金融政策関連では、26日=マレーシア中銀(金利据え置き予想)、28日=ノルウェー中銀(金利据え置きを予想)。
◎その他では、28日=米耐久財受注、30日=米シカゴ購買部協会景気指数、米ミシガン大消費者信頼感指数確報値が注目されている。
●ドル円
ドル円は、日本発の要因として30日の全国CPIでコアインフレがどのくらい上昇するのか気になる。102.57円~105.70円のレンジで5週間続いているが、他の主要通貨高の流れにドル円の買いも弱く、スイスフラン高の流れや、株価の下落に円買いの流れも期待できる。上値は弱いながらも徐々に切り下がり、102.50円を割り込むと底値を割り込み、5月2日=105.70円、5月14日=105.45円をダブルトップに、5月9日=105.61円、5月12日=102.57円、5月22日=105.73円を割り込に、特にDaily終値で102.50円を割り込むとドル売りが加速しやすくなる。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間から上限で取引が続いている。上値のポイントは、105.68円、106.28円、106.58~70円、108.60円。下値のポイントは、102.50~64円、100.65円、97.73~96円。RSIは34で引き続き50を割り込み売り傾向が強いが、トレンドがはっきりしない。トレンドモメンタムは買いになっている。Monthlyチャートは、97.96~106.54円のレンジに入り、RSIは下降ラインが続き、トレンドモメンタムも売りを継続している。Dailyチャートは、102.50円を割り込むと、ダブルトップになりドル売りが加速、RSIは下降ラインが続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。Daily=売り、Weekly=ミックス、Monthly=売り。トータルの判断は、売りが続き、102.50円を日足ベースで割り込むと99.50円がターゲット。102.50円を失敗すると、102.50~105.80円のレンジ相場に逆戻り。
●ユーロドル
ユーロドルは、ZEWやIFO景況感を見ても、ユーロ圏の景気は予想より底堅く、インフレ試算の前提となった原油価格は遥かに上昇し、インフレリスクが強まり利下げ環境は当面望めそうにない。また原油価格の上昇に、産油国がユーロ買いを拡大し、原油価格上昇=EUR買い・ドル売りが続きそうである。最近の値動きからは、EURUSDが急落した4月25日の週を回復したものの、過去3日間は大枠で1.57~1.5800のレンジに入り伸び悩み、Weekly終値で1.5656を割り込めば上昇も終了し下落となる。しかし、1.58台を回復すれば、次は、1.60の大台を再トライとなり、ユーロ買いが続きそうである。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、1.53~1.60のレンジで取引が続いている。上値のポイントは、1.5916、1.6008、1.6470、1.6909。下値のポイントは、1.5365、1.5302、1.5002、1.4961。RSIは68と下降ラインが崩れたが再び上抜きに変わり、トレンドモメンタムは買いを継続している。Monthlyチャートは、上昇トレンドが続き、ラインの中間から上限で取引が続き、RSIは82で上昇ラインが続くが87からやや下げ、トレンドモメンタムは買いを継続している。Dailyチャートは、1.5340から上昇を続け1.58で3日間上げ渋り、RSIは48と緩やかに上昇、トレンドモメンタムは買いに変化しそうである。Daily=買い、Weekly=買い、Monthly=買い。トータルの判断は、買い。
●ポンド円
ポンド円は、住宅価格の下落が続くが、インフレリスクが強く、BOEのMPC議事録でも利下げに対するリスクが指摘され、予想できる範囲では利下げの可能性が非常に低くなっている。また、いつもながら、ポンドの政策金利は5.0%と高く、ショートポジションはキャリーコストを計算しながら長期的に持ちにくい。また、原油価格の上昇の弱いながらポンドをサポートしている。先週はGBPUSDが週足のローソク足は大きな陰線で買いを示し、GBPJPYは大きな陰線で前週の高値を超えられず、戻り売りになりやすく、今週の動きは予想し難くなっている。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間から下限で取引が続いている。上値のポイントは、205.61円、209.38円、213.70円、214.01円。下値のポイントは、200.62円、198.69円、195.62円、191.29円。RSIは32と下降ラインが崩れたが引き続き横ばいで推移、トレンドモメンタムは買いに変化する可能性が高くなっている。Monthlyチャートは、下落傾向も弱まり197.50~220円のレンジに入っている。Dailyチャートは、200.00~209円のレンジで取引が続き、204.50円を中心に取引が続き、RSIはか46と再び50を割り込み、トレンドモメンタムは売りだが非常に不安定。Daily=レンジ、Weekly=買い、Monthly=売り。トータルの判断は、徐々に上下が狭まり三角持合から、一方向へ動きやすく抜けた方向に乗りたい。