2008年6月11日 10日の海外為替市場

バーナンキFRB議長のインフレ警戒発言と、ポールソン米財務長官から為替介入の可能性を繰り返す発言に、市場は早くも利上げ期待を折り込みながらドル買いが続き、予想外のカナダ中銀の政策金利据え置きにカナダドルが上昇した。オプションではJPYのボラティリテーも珍しく上昇、ドル円は107.45まで上昇、金と原油価格は下落している。


日経平均株価=14021.17(-160.21 -1.13%)、NYダウ=12289.76(9.44 0.08%)、独DAX=6771.10(-44.53 -0.65%)、英FTSE=5827.30(-50.30 -0.86%)、金=871.20(-26.90 -3.0%)、原油=131.31(-3.04 -2.26%)。


アジア市場は、バーナンキFRB議長発言を受け、米利上げ期待に主要通貨でドル買いが強く、英BRC小売売上高は、前月比1.9%(予想1.2% 前回1.0%)、RICS住宅価格調査=-92.9(予想-98 前回-94.7)と予想を上回ったが、ポンド売りの流れが続き、アジア・欧州・米国市場とポンド売りの流れが続いた。


欧州市場では、独生産者物価指数(PPI)は、前月比1.4%(予想0.7% 前回0.6%)と予想を上回るが、ユーロ買いの流れは弱く、ユーロ売りが続き、スウェーデン消費者物価指数は、前月比0.4%(予想0.2% 前回0.5%)と予想を上回り、ノルウェー消費者物価指数は、前月比0.1%(予想0.2% 前回-0.1%)と予想を上回り、EURSEKは一時9.2994まで下落(米国市場では9.3717まで急伸)。EURNOKは7.9216→7.9788(欧州市場)→8.0005(米国市場)まで上昇が続き、NOKSEKは1.1765→一時1.1652(欧州市場)まで下落した。


米国市場では、カナダ中銀が予想外の3.0%の政策金利の据え置きを決定、USDCADは1.0300→1.0196まで急落、CADJPYは103.50円→105.08円まで上昇、EURCADは1.5993→1.5795まで急落となった。また、ドル買いに繋がる発言も多く、フィッシャー・ダラス連銀総裁は、インフレ期待の上昇を容認しないというメッセージを確実に明確にしたいと、今後の利上げを示唆、金利上昇期待にも米株価は比較的堅調に推移し、ポールソン米財務長官は、政策ツールとしての為替介入の可能性を排除しないとした前日の発言を堅持し、ドル買いが続いた。


●ドル円
アジア市場のドル円は106.30円で取引が始まり、早朝の106.24円を安値に、バーナンキFRB議長+ブッシュ米大統領発言を受けた幅広いドル買いに、106.40~50円のドル売りを消化、6月5日の高値106.44円を超え、106.50~60円のストップロスを誘発し106.83円まで上昇、オプション勢+本邦輸出勢の売りに上値は重く、106.50~80円のレンジで取引が続いた。欧州市場は106.64円で取引が始まり、クロスの円買い戻し+アジア勢の売りに、一時106.44円まで値を下げたが、独銀の買いに+欧州投機筋のドル買戻しに、107.00円のオプションバリアをトリガーし、107.14円まで上昇、政府系ファンドの売りに106.63円まで徐々に値を下げた。カナダ中銀の政策金利発表を引金に、CADJPYの買いが強く、オプション勢の買い戻しに107.30円まで続伸、米金利上引き上げ期待に底堅く、短期投機筋の買い戻しに107.44円まで上昇した。107.30~50円にかけては政府系ファンドの売りが厚く上げ止まり、107.25~45円のレンジとなり、06:00時では107.43円で取引されている。


●ユーロドル
アジア市場のユーロドルは1.5646で取引が始まり、早朝の1.5654を高値に、バーナンキFRB議長+ブッシュ米大統領発言を受けた幅広いドル買いに、1.5561まで急落、予想を上回る独生産者物価指数にもユーロ買いは鈍く、1.5565~20のレンジで取引が続き、スウェーデン消費者物価指数に、EURSEKが急落、1.5557まで値を下げた。欧州市場は1.5584で取引が始まり、EURSEKの売りが続き、リーカネン・フィンランド中銀総裁の利上げは確実でないとの発言を材料に、1.5500~50に並んだストップロスを試し1.5491まで続落、EURNOKの買いや、1.55割れでは中東勢の買いが入り、1.5495~40のレンジで取引が続いた。カナダ中銀の金利据え置きにEURCADは急落、ロンドンフィキシングにはスイス系銀行のユーロ大口売りが再開され、フィッシャー・ダラス連銀総裁や、ポールソン米財務長官発言にドル買いが続き、1.5441まで続落、06:00時では1.5468で取引されている。


●ユーロ円
アジア市場のユーロ円は166.32円で取引が始まり、強いドル買いの流れの中で売り買いが拮抗し、朝方は信託筋の買いに166.54円まで上昇、狭いレンジから一時166.13円まで下落、予想を上回る独生産者物価指数に166.67円まで上昇したが、クロスのユーロ売りの流れに、166.03円まで続落となった。欧州市場は166.19円で取引が始まり、スイス金融機関の損失拡大との報道や、クロスのユーロ売りが続き、165.56円まで下落、本邦資本筋の買い+利食いの買い戻しに166.13円まで上昇、ユーロドルの下落が続き、165.53円まで続落となった。CADJPYの急騰に買いが強まり、オプションカットの買いに166.25円まで上昇、ロンドンフィキシングでは逆に売りが入り、165.73円まで下落、結局は166円を挟み165.82~20円のレンジで取引が続き、06:00時では166.18円で取引されている。


●主な経済指標の結果
8:01 英 5月 BRC小売売上高=前月比1.9%(予想1.2% 前回1.0%)、 前年比予想-1.3% 前回-1.5%
8:01 英 5月(3~5月) RICS住宅価格調査=-92.9(予想-98 前回-94.7)→ 予想よりマイナス幅は縮小
8:50 日本 4月 機械受注=前月比5.5%(予想0.0% 前回-8.3%)、前年比0.5%(予想-5.1% 前回-6.2%)
10:30 豪 5月 NABビジネスコンフィデンス=-4(前回-8)、 NABビジネスコンディション=7(前回7.0)
10:30 豪 4月 住宅ファイナンス=予想-3.0%(予想-1.9% 前回-5.7←-6.1%)→ 予想よりマイナス幅が拡大、投資貸付=前月比1.4%(前回-7.2%)
15:00 独 5月 生産者物価指数(PPI)=前月比1.4%(予想0.7% 前回0.6%)、 前年比8.1%(予想7.3% 前回6.9%)→ 予想を大幅に上回る
16:30 スウェーデン 5月 消費者物価指数(CPI)=前月比0.4%(予想0.2% 前回0.5%)、 前年比4.0%(予想3.7% 前回3.4%)→ 予想を上回る
17:00 ノルウェー 5月 消費者物価指数(CPI)=前月比0.1%(予想0.2% 前回-0.1%)、前年比3.1%(予想3.2% 前回3.1%)→ 予想を下回る
17:30 英 4月 鉱工業生産=前月比0.2%(予想0.0% 前回-0.5%)、前年比0.2%(予想0.1% 前回0.1←0.2%)
17:30 英 4月 製造業生産高=前月比0.1%(予想0.1% 前回-0.5%)、前年比0.1%(予想0.0% 前回0.5←0.6%)
21:30 米 4月 貿易収支=-609億ドル(予想-599億ドル 前回-565←-582億ドル)、輸出=3.3%・1555億ドル、輸入=4.5%・2164.5億ドル
21:30 カナダ 4月 貿易収支=51億カナダドル(予想57億カナダドル 前回57←55.3億カナダドル)
22:00 カナダ カナダ中銀の金融政策発表=3.0%の政策金利の据え置きを決定、予想は0.25%引下げ、利下げ局面が終了との思惑が広まる→ USDCAD値を下げる
英 4月の住宅価格=前月比4.9% 前回5.2%。


●昨日の主な発言その他
米国・カナダ
◎米 →   マコーミック米財務省次官=大阪G8で為替相場について正式に協議しない。
◎米 → ポールソン米財務長官=政策ツールとしての為替介入の可能性を排除しないとした前日の発言を堅持。長期ファンダメンタルズはドルの価値に反映される。
◎米 → ポールソン米財務長官=-中国は市場主導の人民元相場への用意できていないが、経済不均衡是正に向け元をより速いペースで上昇させる必要がある。
◎米 → フィッシャー・ダラス連銀総裁=FRBはインフレを制御するとし、ドル安が物価上昇に波及する危険性を認識。インフレ期待の上昇を容認しないというメッセージを確実に明確にしたい。ドル安でインフレ圧力が上昇し、それがドル安につながり、経済活動が減速するという負のフィードバック・ループを実際に目にしている。
◎米 → 米金利先物が大幅下落=年末までの0.75%利上げ織り込む。
◎米 → ローゼングレン・ボストン連銀総裁=食品・エネルギー高、引き続き経済に波及。
◎カナダ → カナダ中銀=予想外の政策金利3%据置きを決定し利下げ局面が終了した可能性も出てきている。中銀声明では、金融政策の現在のスタンスは全体の需給を均衡化させ、2%のインフレ目標を達成する上で適切に緩和的だと判断。インフレが4月時点予想を上回るリスクが高まったと指摘。米経済成長の構図はカナダの財やサービスへの需要にとって好ましいものではないが、全般的には世界的な成長は予想以上に強く、商品価格は予想を超えて大幅に上昇した。総合インフレが年内に3%を超えて上昇し、コアインフレは2009年一杯2%を下回る水準に止まり、2010年には総合・コアともに2%に近づくと予想。カナダドルが対米ドルで上昇したことは、食品も含めた輸入価格が低水準にとどまることにつながった。政策当局者はガソリン価格の上昇が企業や個人にとって痛手。カナダ経済は中銀の予想以上のペースで減速した。 第1四半期に過剰供給となり、年内には需給ギャップが拡大すると予想。
◎米 → ブルーチップ・エコノミック・インディケータースの調査=米景気減速は長期化、リセッションは回避へ。
◎米 → ブッシュ米大統領(6/10付けタイムズ紙)=われわれはドルが強くなることを望んでいる。
◎米 → バーナンキFRB議長=エネルギー価格急騰を警戒する。インフレ心理が定着するような傾向には強く抵抗する。米失業率の上昇にもかかわらず、米経済が大幅な下降局面に入るリスクは回避した可能性がある。


欧州・英国
◎ユーロ → リーカネン・フィンランド中銀総裁=中期的なインフレリスクの高まりを受けてECBは「高度の警戒(heightened alertness)」状態にあり、7月利上げの可能性はあるが確実ではない。
◎英 → キングBOE総裁=金融市場の危機はまだ終わっていないと警告し、将来的な危機回避に向け、新たな流動性供給策を含む対策に関する考えを示した。 経済見通しについては、成長が鈍化しインフレが上昇している。
◎ユーロ → ミロウ独財務次官=インフレが早期にピークを打ち、その後鈍化するとの観測は後退しており、ECBのインフレに対する懸念を真剣に受け止めなければならない。13~14日に大阪で開かれる主G8で財務相会合を控えた会見でECBが示している懸念を非常に真剣に受け止めなければならない。 外為市場の動向が討議される可能性は排除できないが、4月の会合からスタンスが変わることはない。
◎ユーロ → ユーロ2年もの金利=一時2000年来の高水準に上昇、4.601%で終了。
◎ユーロ → リッカネンフィンランド中銀総裁、7月には利上げの可能性がある。
◎ユーロ → トルシェECB総裁=ECBは自己満足している余地なし。物価安定は雇用と成長の鍵。


日本・その他
◎ロシア → ロシア中銀=ルーブルの対ドル・ユーロ通貨バスケット相場を前日終り値から0.4%上昇させることを容認。ルーブルは0.55ドルと0.45ユーロで構成されている通貨バスケットに対視29.56ルーブルに上昇した。
◎世銀 → 世界銀行=今年の世界成長率2.7%に低下へ(07年3.7%) 。途上国の経済成長率、今年は6.5%へ。
◎S&P → S&P=格付け引き下げリスクのある内外の企業数が5月に過去最高となった一方、格上げの可能性のある企業数は、2004年9月以来最低の水準になったと発表。
◎タイ → バンディット・タイ中銀副総裁=世界的な経済成長の減速に伴い、今年は資本流出に直面する可能性がある。
◎中国 → 中国国家発展改革委員会の幹部=貿易黒字と中国経済最大の問題であるインフレ抑制のために人民元の上昇を加速させるべき。
◎インド → インド中銀=42.92ルピー付近でドル売り介入を実施した模様。
◎韓国 → 韓国中銀=ドル売り介入を実施した模様。
◎タイ → タイ中央銀行=USDTHBでドル売り介入の模様。
◎ベトナム → ベトナム中央銀行=インフレ抑制のため、基準金利を12%から14%に引き上げ。