100年企業 38 産業別100年企業 鉄鋼業界・セメント業界

基礎原料を仕入れて加工して製品をつくる「素材型産業」を代表するのが鉄鋼業界だ。鉄をつくるには高炉が必要なので「装置産業」とも表現できる。また製品の価格はよりグローバル化し、原料の調達から製品の輸出まで、為替相場の影響をモロに受ける業界でもある。


鉄鋼業界は、かつて5強と呼ばれたが、現在は「新日本製鐵」と「JFEスチール」の2強。2006年に世界最大の鉄鋼メーカー「アルセロール・ミッタル」が誕生し、日本の鉄鋼メーカーの買収を目論んでいるようなので、2強は財務強化を図り、グループ化を進めている。


新日本製鐵の創業は幕末。1857年、釜石で日本初の洋式溶鉱炉の出銑に成功。1880年に釜石製鐵所が営業を開始した。これを母体として5社が合併して誕生したのが新日本製鐵だ。2002年にNKKと川崎製鉄が合併して誕生したJFEスチールと対抗するために、業界第3位の神戸製鋼所と提携する一方で、業界4位の住友金属工業の大株主となって、ゆるやかなグループを形成している。


1905年、鈴木商店が小林鉄鋼所を買収して誕生したのが「神戸製鋼所」。1911年には鈴木商店から独立。兵庫県を基盤に成長し、鉄鋼部門、溶接部門、銅・アルミ部門で約50もの関連会社があり、神戸製鋼グループを築いている。2001年に新日本製鐵と鉄鋼事業で包括的提携を結び、新日本製鐵、神戸製鋼所、住友金属工業の3社による提携戦略を進めている。


1897年に創業した住友伸銅場を起源とする「住友金属工業」は、住友グループの中核企業。三井住友銀行、住友化学とともに住友御三家と称される。主要株主には、住友商事とともに新日本製鐵が名を連ねている。


石灰石や粘土を主原料とするのがセメント業界。かつては小野田セメント、日本セメント、三菱鉱業セメントなど5グループがしのぎを削ったが、現在は太平洋セメント、住友大阪セメント、三菱マテリアルの3グループに集約されている。最大手「太平洋セメント」のルーツは、1881年に山口県で創業した「セメント製造会社」。のちに「小野田セメント」「秩父小野田」を経て「日本セメント」と合併し、現在に至る。


業界第2位の「住友大阪セメント」は、住友グループ唯一のセメントメーカー。1907年創業の「磐城セメント」をルーツとし、1994年に「大阪セメント」と「住友セメント」が合併して誕生した。原料を自社で調達するため鉱山経営も続けている。


業界第3位の「三菱マテリアル」は、銅、鉛、アルミなど非鉄金属メーカーの最大手でもある。1871年、三菱商会前身の九十九商会が紀州新宮藩の炭鉱を租借し、鉱業部門に進出したのを起源としている。三菱はのちにセメント事業に進出し、「三菱鉱業セメント」と「三菱金属」が合併して誕生したのが三菱マテリアルだ。その三菱マテリアルと総合化学メーカーの「宇部興産」の共同販売会社が「宇部三菱セメント」だが、宇部興産はセメント業界でも第4位のシェアを占める大手。同社は1897年の匿名組合沖の山炭鉱組合設立を創業とする「100年企業」である。


また、三菱マテリアルは2004年、前出した神戸製鋼所と鋼管事業を統合することで合意。神戸製鋼が 55%、三菱マテリアルが45%を出資して設立した「コベルコ マテリアル銅管」は、銅精錬から加工、販売までを一貫して行う日本最大の企業となった。


1872年、麻生太吉が炭鉱を採掘したのをルーツとする「麻生ラファージュメント」は、旧麻生財閥の中核企業「麻生セメント」とフランスのセメント大手「ラファージュ」が合併した企業。世界最大手のラファージュ社のノウハウがどこに活かされるのかに注目。

By Master K/益田 慶