FXライフ 53 東南アジアの通貨 インドネシアとカンボジア
日本の約5倍の面積を有するインドネシア共和国。赤道をまたがる17500もの大小の島から構成されている。日本人観光客の多いバリ島やジャワ島、スマトラ島などがよく知られている。2億4000万人の人口は、現在世界第4位。大半がマレー人で、宗教は全体の87%を占めるイスラム教。12世紀以降、イスラム商人がイスラム教をもたらし、東南アジア屈指のイスラム教国家になった。
通貨はインドネシア中央銀行が発行するルピア(IDR)。通常「Rp」と表示される。ちなみに「ルピア」はインドの通貨ルピーから来ている。
1997年7月の「アジア通貨危機」はインドネシアにも少なからず影響を与えた。タイがパーツを変動相場制へ移行したことで、インドネシア政府はルピアを8%から12%に固定したが、すぐに変動相場制に移行。
するとルピアが値下がりを始めた。インドネシア企業はドル建てで資金調達していたので、借金が増える結果となった。そこでIMFは230億ドルの支援を断行。通貨危機は国内のインフレを起こし、食品価格の高騰により暴動まで発生した。これによって独裁者のスハルト大統領が辞任した。
近年、経済成長は5%台で推移している。2005年は石油燃料価格の値上げに端を発するインフレ(17.1%)と高金利によって苦しい1年だったが、2006年はインフレ率・金利の低下に伴い、消費が回復し、また過去最高額を記録するなど輸出が好調だったこともあり、経済は回復基調となった。その要因は、天然ガス、アルミ、スズなど鉱業資源が高値で輸出できるようになったからである。OPECに加盟する産油国だが、2004年以降は原油の輸入量が輸出量を上まわるようになり、2008年12月にOPECを脱退する予定だ。ほか軽工業、食品工業、化学繊維、パルプなど工業が盛ん。日本企業も数多く進出している。
ベトナム、タイ、ラオスと接するカンボジアは1953年、フランスから独立した。9割がクメール人から成る王国だ。ベトナム戦争の際に、カンボジアにまで南北ベトナムとアメリカが介入したことで内戦が勃発。共産主義のポル・ポト政権時代には200万人もの国民が殺害されたとされている。
通貨は、リエル(KHR)。ただしリエルはドルに弱く、国内では米ドルが使われている。事実、国内のスーパーやコンビニでは商品の価格はドル表示だ。またタイ国境に近い地域では、タイ・バーツも使用される。ドルのレートは、1ドル4100~4200リエル。それでも、一般の商店で支払いをする時には1ドルは4000リエルとして計算されるので、ドルをリエルに両替しておけば、1ドルにつき100~200リエル得する計算になる。ただし店によっては、1ドル=4200リエルと定めている場合もあるので、要注意だ。
主要産業は、農業、工業、サービス業。農業は労働生産性が低く、国内需要を満たす程度の量にとどまっているが、葉たばこと天然ゴム、木材などは輸出している。鉱物資源としてリンやマンガンがあるが、未開発だ。しかし、経済成長率は、2004年 10%、2005年 13.4%、2006年 10.4%と順調に推移している。内戦によって「貧困国」となった同国の成長率を牽引しているのは繊維産業だ。中国やベトナムよりも賃金がはるかに安いことから、世界の繊維縫製産業の新たな工場として注目されているのだ。2004年に縫製工場の数は約220カ所、従業員数は約25万人だったが、2007年には工場約290カ所、従業員数約32万人に増えている。
さらに最近、南海岸で大規模な油田や天然ガス田まで発見された。海底油田の埋蔵量は最低20億バレル、天然ガスの埋蔵量は10億立方フィートに達すると考えられる。海底油田が本格的に開発されれば、カンボジアは毎年20億ドル(約2400億円)の外貨収入を得ることになり、GDPは現在の2倍になるだろうと見られている。すでにこの地下資源開発をめぐり、米国・中国・日本・タイ・韓国などが触手を伸ばしている。
さらに首都プノンペンや観光都市のシェムリアップなどには、ホテルやリゾートマンションの建設、ニュータウンの開発を目指した不動産投資ブームが巻き起こっているという。2006年には、外国人のカンボジアへの直接投資の金額は23億3400万ドル(約2755億円)に達し、過去10年間の合計額をも上回った。カンボジアは「世界の工場」になるのか注目したい。
By Master K/益田 慶