FXライフ 56 東南アジアの通貨 ベトナムとマレーシア

インドシナ半島東岸に位置し、南北に長い国ベトナム。北は中国、西はラオス、カンボジアと国境を接する。通貨はドン(VND)。ドンは、 銅もしくは青銅を意味する言葉。フランスに植民地化される前は銅貨が流通していた。さらにさかのぼると、江戸時代の銅銭「寛永通宝」はベトナムでも流通しており、国際取引の決済に使われていた。


1976年に南北が統一され、ベトナム社会主義共和国としてスタート。1986年、社会主義に市場経済システムを導入する「ドイモイ政策」に踏みだし、外資導入に向けた構造改革が始まった。それ以降、経済成長が続き、アジア通貨危機で一時期失速したが、ODAと外国投資によって立ち直り、2002年から2004年までGDP7%成長を続け、2007年には8.5%成長を遂げた。


ベトナムが1999年にASEAN自由貿易地域(AFTA)に加盟し、日本企業にとって輸出拡大が見込めるようになったことに加え、「世界の工場」中国の人件費が上がったため、中国の半分か3分の1ともいわれる賃金のベトナムに生産基地を移す企業が増えたことも経済成長の大きな要因だ。ベトナムは、2007年に念願の世界貿易機構(WTO)に正式加盟し、今後は工業国をめざして進むという。


日本はベトナムに機械類と電気機器を輸出し、ベトナムから原油、水産物を輸入している。ベトナムは、世界第2位の米の輸出高を上げるほどの農業国だが、実は石油・石炭、スズなど資源に恵まれた国で、輸出品目の第1位は石油だ。また、スズは世界第4位の生産量を誇り、亜鉛、クロム、鉄、リン鉱石も産出している。


2000年以降、ベトナムの石油発見量が増えたのは、米国と英国企業がベトナムの国営石油ガス会社「ペトロベトナム」との共同で既存石油生産地域において次々と新規油田を発見したからだ。ベトナムは未探鉱地域の面積が広く、政府は近年探鉱鉱区入札の公開に力を入れてきた。


マレーシアは、1986年以降、外貨の積極的な導入による輸出指向型工業化政策を推進し、高度成長を達成した。1998年にマイナス成長を記録したが、製造業を中心に回復。1999年以降、プラス成長を維持している。これは工業製品の国産化政策の成果で、マレーシアの自動車産業は国内メーカーが高いシェアを得ている。


また、外国企業の積極的な誘致、港湾や空港、鉄道などインフラ整備も充実し、IT産業も発展している。
通貨はリンギ(MYR)。2005年、中国人民元の切り上げに連動するようにリンギの固定相場制(ペッグ制)を廃止し、複数の通貨に連動させる「通貨バスケット制」へ移行した。


主要産業は、前述した製造業、天然ゴム、パーム油など農林業、鉱業だ。マレーシアは、天然資源に恵まれた国でもある。スズ鉱の採掘は世界第8位。石油、石炭、天然ガスも産出している。アジア太平洋地域の2000年以降の新規石油発見で多かった国は、インドネシア、ベトナム、マレーシアの3国。東マレーシア・サバ沖合海域で2002年から大規模発見が続き、インドネシアのカリマンタン島東沖合と並ぶ有望な深海油田地帯となった。


石油・ガス企業では、マレーシア国営企業「ペトロナス」が有名だ。国内の石油天然ガス資源の所有権をすべて保有、管理を行っている巨大企業。液化天然ガス事業ではペトロナスがほとんどの株を握る「マレーシアLNG」を立ち上げ、日本の大手ガス会社、電力会社に液化天然ガスを販売している。


2006年度のGDPは5.9、インフレ率は3.6%、失業率3.3%と好調だ。製造業とサービス業が成長を牽引した。2006年は輸出が前年比10.3%増、輸入が同10.7%増。貿易額は初めて1兆リンギを突破した。2007年度GDPも6.3%と伸びている。


By Master K/益田 慶